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順当に進んでいくトーナメント戦。多くの生徒が出場しているA組は控室に立ったり戻ってきたりと出入りが激しい。
静も初戦を終えて控室へと戻ると、そこにいたのは丁度ストレッチをしていた爆豪だった。
まさか前後で同じ控室になるとは思っていなかったが、彼はもう集中モードに入っているのか、控室の扉を開けた静に一瞥しただけで特に何も言わない。とても静かだ。
一方で静の内心は、
(……な、なにか言うべき…?さっき私に声かけてくれたし……あ、でも爆豪くんの相手はお茶子ちゃんで………どちらかといえば、お茶子ちゃんの身が心配というか……けど、やっぱり何も言わないのも失礼な気が……)
「うるせぇ!クソアマ!」
「あ、ご、ごめんなさいっ…口に出てた…?」
「おめーのは顔に出てんだよ!」
「……え、」
先ほどまで静かだった爆豪は何処へ行ったのやら。
やはりいつもの彼になっていた。
静は自分が彼のウォーミングアップの邪魔になってしまったかとハラハラしながら、さっさと部屋を出ようと置いておいたタオルなどを取る。
そして再び扉のドアノブを握り、意を決して彼の方へ振り返った。
「……が、頑張って」
「……………あ?」
「ヒッ……、それじゃあ…っ」
勢いよく扉を閉めた。閉める寸前に見た爆豪の顔は今まで見たこともないような、呆然とした顔をしていた。
▽▲▽
現在熱戦を繰り広げる「硬化」の切島とB組の「スティール」鉄哲の殴り合いは互いに最強の盾であり最強の矛であるダダ被りの個性で決着がつかずにいたが、ついに互いに力尽き同時に倒れ引き分けとなった。
「――っし・・・そろそろ控え室行ってくるね」
少し早いような気もするが、麗日は浮かない声だ。いつもの周りを笑顔にしてくれるような麗らかさは今の彼女からは感じられない。それは緑谷もなんとなく感じているようで、彼女を気にかけている。
次いで行われた青山VS芦戸は、ベルトが壊され慌てふためく青山の顎に1発決めた、芦戸の勝利。常闇VS八百万は先手必勝で八百万に創造した武器を使わせる間もなく場外に押し出した、常闇の勝利。そして次は切島VS鉄哲。
「出久くん…お茶子ちゃんのところ、行ってあげて…。
相手が相手だから、怖いと思うの」
「・・・そうだよね。みんな夢のために全力出してくるから手加減なんか誰も考えない・・・麗日さんにはたくさん助けられたから、何か力になってあげられたらいいんだけど」
「そのノート…“クラス”の人の分も書いてるんでしょう?
出久くんなら立てられるよ、作戦」
静は、ぽんと緑谷の肩を叩き麗日のもとへ行くよう促せば、緑谷は縦に頷き、ノートを片手に麗日のいる控え室へと駆けて行った。
麗日が控え室に向かってから試合データの記録とは別に、麗日の為に作戦を認めている事に静は気付いていた。麗日は緑谷の力を気持ちだけ受け取るかもしれない。それでも充分、麗日にとっては彼に立ち向かう為の“力”になるだろう。
そして始まる、切島VS鉄哲。彼らの戦いは肉弾戦1本。
切島は硬化で身体を硬め、鉄哲は“個性”スチールで身体を硬める。互いに拳と拳をぶつけ合い、硬化で防御しても多少なりともダメージは伝わる筈だろう。両者一歩も引かない殴り合いを制したのは――両者ダウンにより、引き分け。引き分けの場合は回復後に腕相撲等の簡単な勝負で勝一息つくのも束の間、ついに第1回戦最後の組、麗日VS爆豪の試合が始まる。
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