35
第三戦の芦戸VS常闇は、常闇の問答無用の圧倒的勝利。そして第三戦、切島VS爆豪は開始後「硬化」で連撃、爆豪の爆破もその強靭なガードでダメージを受けず切島の勝利かと思われたが、やがて爆豪の攻撃が鉄壁のガードの切島に効き始め、硬化の綻びを突かれ爆豪が切島を撃破。ここに四強が揃った。
「すごーい!A組強いね!」
「あいつらどんだけスゲェんだよ!今から冷や冷やするぜ、これからの全試合!」
「照己って子は唯一の紅一点だし!女の子なのにやるね〜!」
静が三回戦を待っている時、先ほどの轟戦で負傷を負った緑谷が観客席の方へ戻っていることに気づきそちらに近づく。
「出久くん」
「静ちゃん!おめでとうっ、三回戦進出なんて凄いよ!」
緑谷は静に気づくと真っ先に賞賛を述べてくれた。
しかし、今の静にとっては話したい内容はそれではなく。
「無茶ばっかり…」
ぐるぐる巻きにされた包帯や固定された右腕を見て、ポツリと呟いた。
「うぅ、返す言葉もない・・・」
「自損覚悟とは思ってたけど、酷使し過ぎだよ…」
「ハイ・・・」
「・・・お節介焼きなところ、昔と全然変わらないんだから」
わしゃわしゃともさもさ頭を撫でくりまわせば、緑谷はジェダイトの瞳をまあるくしながら静を見上げた。事も無げな顔でいる静から、呆れるような息がつかれる。リカバリーガールのおかげで歩けるようになったとはいえ、他の皆のように完全復活とはいかないその状態に静は不安そうな表情をしたが、少しの間を置いて今度は何処か困ったような笑顔を見せた。
「でもやっぱり出久君は……ヒーローだ」
「え?」
轟にもお節介を焼いたのだろう。彼のお家事情を知った上で、ふたりにしか聞こえない言葉を交わして彼自身の中にある何かを取り除き、救った。
「私、出久くんの分も…頑張る」
「そっか…次、轟くんとなんだね」
「……正直…あんまり自信ないんだけど…今まで皆の試合を見てると、自分ももっと頑張れるって、そう思うから………やれるだけやってみるね」
「静ちゃん……うん!頑張れ!」
これまでの静なら強大な力を前に臆してしまう一面があったが、今は違う。
皆の試合を見て、その熱気や負けられないという気持ちに静も心を動かされた。
ヒーローを目指すからこそ、全員がライバルで、皆が全力で戦うんだ。
- 31 -
*前次#
ページ:
ALICE+