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《準決勝第一試合!ヒーロー科照己静 VS ヒーロー科轟焦凍!》

轟は緑谷戦で氷だけではなく、絶対使わないとさえ言っていた炎を使っていた場面があった。
静は緑谷のように氷を壊したり炎を打ち消したりはできない。さらにいえば、轟とは一度授業で相対したときに敗れた経験がある。
静の個性を向こうも熟知したうえで攻撃してくるだろう。
そして、ついにスタートの合図が鳴った。

予想通りというべきか、轟は氷の柱を一気に地面に這わせてきた。それを避けるため静はテレキネシスで身体を浮かし、横に逃げる。が、尚も氷は静の方へ迫って来て遂には
囲まれてしまった。

「お前の個性、物体を操るには腕を使うんだよな」
「…っ」

授業で戦ったときと同じように轟は静の腕を狙って凍らせてくるつもりだ。
しかし、そうなる前に静も反撃に出る。

「それじゃあ、そうなる前に私も…!」

視野に入る氷にオーラを張り両手を使って、両側の一部の氷を浮かせた。
塩崎との試合のときと似たように、相手の個性を逆に利用し自分の武器とする作戦だ。
大きなひと塊の氷を氷柱のように分裂させ、たくさんの氷の武器ができた。轟の強大な個性があったからこそできる技だ。

《すげぇえええ!!轟の氷を一つ一つの武器にしやがった!その姿はまるで氷の女王だぜぇええ!!》

氷柱のように尖った氷を一気に轟へと落とし、轟はそれらを自身の氷で壁を作り防いでいく。
しかしそれこそ静の狙いだったのだ。轟に意識をたくさんの氷柱に向け、その間に彼の背後に周り、彼の身体を操り場外へと出すという作戦の。

(今だ…!)

轟の背後へと一気に回り込みそのまま彼を捉えようとした、そのときだった。

「え…」

キンッと足元が突然冷えた。見ると左の足元には何時の間にか地上から伸びた氷が。

「前回ので腕は警戒されてると思ったからな、足元まで注意はいかなかったろ」
「…っ、」

確かに轟の言う通り。試合が始まった当初も、轟は静の腕の動きについて呟いていたから静自身も腕さえ凍らせられなければいいと思ってしまっていた。それ故、空中にいることもあって足元への注意はなくなっていたのだ。
ピキキキ、と一気に轟の氷が左半身を覆っていく。静は咄嗟に操っていた氷柱たちを自らの左足元へ持って行き、地上から繋がっている氷を氷柱で壊す荒業に出た。
しかし、氷の浸食は抑えたたものの左半身は既に凍ってしまているため、静の身体全体のオーラも効かずそのまま地上に落ちてしまった。

《おおっとー!!翼を取られた天使の如く、照己地上に落下!これは不味いぞぉおおお!!》

「うっ……」

幸い、高く浮遊はしていなかったため落下の衝撃はそこまで酷いものではなく、寧ろ轟に張られた氷が下になってくれたお陰で大事にならずに済んだ。
それでももう殆ど左半身の身体の自由は効かない。それに加えて、たくさんの氷を氷柱として砕いたり操ったりと体力の消耗が激しかったのでテレキネシスの力も殆ど残っていないのだ。

「悪いな、決めさせてもらう」

そう言うと轟の氷が一直線に静へと向かってきた。
このままだと恐らく身体の自由を奪われて、今までの相手と同じく行動不能とされるのだろう。

「……で、も…頑張る…って…き、めた…から…!!」

静は最後の力を振り絞り、震えながらも腕を振り上げた。
すると突然、会場内に大きな風が吹き出した。天候の変化かと思われたその風は、

「お前まさか…!」
「私は、目に…視え、てるもの……全部、操れる…よ」

物体だけを操るのではない。静の個性“テレキネシス”は目に視えているもの全てに干渉することが可能である。
つまり、目の前に広がる大気も彼女の干渉範囲内なのだ。
しかしこれは大きなリスクを要する。物体と違い、風は視えていても特定することはできない。一部分だけを操れるわけでないので、静は今視野に広がる全てを操らなければならない。
そうなると当然、体力が一気に消費され個性どころか身体を起き上がる力さえなくなる。
なので最後の賭けとして使った技だった。大気を操り、轟を風で場外へと飛ばすという。

――――だが、



「静、ちゃん…っ」

観客席にいた緑谷が悲痛の声を漏らす。
静は既に轟を飛ばせる程の力を持っていなかったのだ。
主審のミッドナイトが確認すると、轟へと軍配を上げた。

《照己さん行動不能!轟くん決勝戦進出!》

腕を振り上げ風を起こしてから、彼女の身体は横たわったまま動かなかった。

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