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職場体験、当日。多くの人々が行き交う駅内に、1年A組21名の姿があった。

「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ、落としたりするなよ」

相澤の注意を受けた後、各自の行き先に別れていく中、静は飯田に視線を向ける。
普段の彼ならば、こういう時真っ先にクラスメイト達に激励の言葉と注意事項を言って回っていただろう。
しかしヒーロー殺しにより兄のヒーロー生命が絶たれるという事件があってからは、どうも様子が可笑しい。
どうにもならないやるせなさを感じながら、静は轟と同じ新幹線に乗り込んだ。

そう、彼女が選んだ職場体験先はエンデヴァーヒーロー事務所。轟と同じ行き先だ。

▽▲▽

「前例通りなら保須に再びヒーロー殺しが現れる。しばし保須に出張し活動する! 市に連絡しろぉ!!」

エンデヴァーヒーロー事務所に到着すると、挨拶もそこそこに移動することとなった。

「お父さん…とっても大きいね」
「図体だけな」

エンデヴァーの前だと轟はいつもより辛口になっているのは気のせいだろうか。
静たちもサイドキックたちの後を追い、パトロールへと向かった。

そしてやって来た保須では轟とエンデヴァー、彼の相棒と静の二手に別れ、パトロールを始める。

「照己さんの個性は――」
「あ、えっと…テレキネシスです」
「体育祭で見た時は本当にかっこよかったよ」
「まだそんなに…ですけど…」
「僕も似たような個性でね、触れたものを操作できるんだ」

そう言って手近にあった小石を拾うと、小石はクルクルと回り出した。
似た系統の個性、学べることは多いだろう。No.2ヒーローの活躍は間近で見られないが、この組み合わせも恐らくエンデヴァーの指示のもとだろう。

「僕達みたいな個性のヒーローは災害救助で活躍する者が多い。けれど使い方を極めれば敵とだってやりあえる」
「はい」
「是非、この職場体験で色々学んでいってほしいな」
「お願いします…!」

折角、自分と似た個性を持つ現役のヒーローに教えてもらえるのだ。
習うより慣れろ、エンデヴァーらしい考えだ。
兼ねてからの課題としているように静の身体能力は低い。
だから個性に頼る他ないのだが、いきなり戦闘スタイルを変化させるのは難しい。
額を流れる汗を拭い、静は必死に頭と身体を働かせる。
そうして職場体験1日目は終了した。

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