そして迎えた期末テスト。中間テストで下位の成績だった者は大慌てで詰め込みとにかく空欄を無くすことに躍起した。筆記テストは3日間続き、頭を抱える者、すらすらと答えを埋めていく者と表情の明暗は分かれたが、全員が乗りきった。

 そうして筆記テストが終わった翌日、演習試験の日がやってきた。実技試験会場へとやってきた生徒たちはそれぞれにコスチュームを身に纏い中央広場に集まっていた。

 「それじゃあ、演習試験を始める。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたきゃみっともないヘマはするなよ」

 相澤からの檄が飛ぶ中、耳郎は試験監督の教師がやけに多いことに気がついた。相澤やオールマイトといった普段ヒーロー基礎学を担当している先生たちはともかく、英語担当のプレゼントマイクや古文担当のセメントス、美術担当のミッドナイト、他にも普段なじみの少ないエクトプラズムやスナイプと錚々たるメンツ。

 「諸君なら事前に情報を集め何するか薄うす分かってると思うが」
 「入試みたいなロボ無双だろ!?」
 「花火ー!カレー!肝試しー!」

 仮想敵のロボなら楽勝だ!とすでに余裕モードの上鳴や芦戸は頭の中はもはや林間合宿に飛んでいる。しかしそこに水を指す校長の登場。

 「残念!諸事情があって、今回から内容を変更しちゃうのさ!」
 「変更って…?」
 「これからは対人戦闘、活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するのさ。というわけで、諸君らにはこれから二人一組、もしくは三人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」

 先生方と!?想定外の内容変更、その上まさかプロヒーローでもある教師たちとの戦闘と聞き、生徒たちの間に一瞬にして動揺が走った。

 「尚、ペアの組と対戦する教師はすでに決定済み。動きの傾向や成績、親密度、もろもろを踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ。まずは轟と八百万、照己がチームで、俺とだ」

 その後も続々とペアと対戦教師が発表され、生徒たちは固唾を飲んだ。

 「試験の制限時間は30分。君たちの目標はこのハンドカフスを教師にかけるorどちらかひとりがステージから脱出する事さ」
 「先生を捕えるか脱出するか……。なんか戦闘訓練と似てんな」
 「ほんとに逃げてもいいんですか?」
 「とはいえ戦闘訓練とはワケが違うからな! 相手はチョー格上!!」
 「今回は極めて実戦に近い状況での試験。僕らをヴィランそのものだと考えてください」
 「会敵したと仮定し、そこで戦い勝てるならそれで良し。だが実力差が大きい場合、逃げて応援を呼んだ方が懸命。轟、飯田、緑谷、照己、おまえらよく分かってるはずだ」

 相澤に言われ、4人はヒーロー殺しと戦った時のことを思い出す。あの時、あまりに強すぎる敵と対峙することになり、全力を出すもまるで勝機を見出だせず、かといって逃げる隙も与えてくれそうにない敵相手に防戦一方で、運の良さと相手のミスの上に得たギリギリの勝利だった。戦って勝つか、逃げて勝つか。判断力が試される。
 
 プロヒーロー相手に戦って勝つより逃げる方が断然勝機は明るい。
 多くの生徒たちはそう思うだろう。しかしただ逃げるだけでもテストにならない。それはあくまで戦略の上の逃げでなければ。
 そこで教師たちにはそれぞれ自身の体重の半分の重りを両手足に装着しての演習となった。
 ハンデを負わせることでプロヒーロー相手でも戦闘を視野に入れさせようという魂胆だった。

 「よし、チームごとに用意したステージで試験を始める。移動しろ。その間に作戦の相談は自由だ」

 発表されたペア同士、互いの個性で組み立てられる作戦を相談し合いながらそれぞれの演習場へと移動していく。
 学内バスでそれぞれのステージへと移動する最中、相澤は組み合わせ決定時の会議のことを思い出す。
 
 「轟と照己は一通り申し分ないが、全体的に個性による力押しのきらいがあります。そして八百万は万能ですが、咄嗟の判断や応用力に欠ける」

 3人の個性はどちらかというと中遠距離型で、個性のコントロールは上手いが、それに頼りきる節が目立つ。

 「よって俺が個性を消し、近接戦闘で弱みを突きます」

 異議なしと可決されたそれ。他の生徒達も各々の弱点を克服してもらうための組み分けにした。さて、どのような結果になるか。

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