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制限時間は30分。
ハンドカフスを教師に掛けるもしくは誰か1人がステージから脱出することが勝利条件だ。
会敵したと仮定し、そこで戦い勝てるならそれで良し。だが実力差が大きすぎる場合、逃げて応援を呼んだ方が賢明となる。
生徒達の判断力が試される試験という訳だ。
勿論戦闘を視野に入れさせるため教師はハンデとして体重の約半分の重量があるおもりを装着する。
『みんな位置についたね。それじゃあ今から雄英高1年期末テストを始めるよ! レディイイーゴォ!!!』
何処からか聞こえてきたアナウンスを合図に静達3人は一斉に脱出ゲートに向け走り出す。
「抹消」の個性を持つ相澤との戦闘は部が悪いと判断した結果だ。
「八百万!何でもいい、常に何か小物を創り続けろ。
創れなくなったら相澤先生が近くにいると考えろ!
この試験どっちが先に相手を見つけるかだ。視認でき次第、俺と照己が引きつける。そしたらお前は脱出ゲートへ突っ走れ」
轟と静の個性の相性はあのNo.2ヒーローが認めるほどのものだ。ステインとの一戦でも見事な連携を取れていた程に。だから八百万ではなく、静を相棒として轟は選択した。が、ヒーローは特定の相棒と抜群のチームプレイを発揮出来るより、誰とでも一定水準をこなせる方が良しとされる。
この選択が吉と出るか凶と出るか……モニターで観戦をしていたリカバリーガールは目を細めた。
「何か出せっつったが、お前何だそれ」
「ロシアの人形マトリョーシカですわ」
「……かわいい」
ポコポコと八百万の脂肪から創造されたそれに轟は何とも言えない表情を浮かべるが、彼女は気にすることもなく人形をベルトに押し込んだ。
「……そうか。とりあえず個性に異変があったら、すぐに言え」
「流石ですわね、お二方は」
「え…?」
「何がだ」
八百万の言葉に静と轟は揃って首を傾げる。彼女は何やら落ち込んだ表情で話を続けた。
「相澤先生への対策をすぐ打ち出すのもそうですが、ベストを即決出来る判断力です」
「……普通だろ」
雄英の推薦入学者。轟とスタートは同じで、静達よりは一歩進んでいると思っていた。けれど実際はどうだ。
ヒーローとしての実技において自分は特筆すべき結果を残せていない。体育祭では常闇に為す術なく敗退してしまった。
私は二人と違って、何も、成長していない。
「八百万さんマトリョーシカ…!」
静の声にハッとする八百万。いつの間にかマトリョーシカの創造が止まっていた。それが意味するところは――。
「来るぞ!!」
「と思ったらすぐ行動に移せ」
電線を伝い、現れた相澤。轟は右手を奮うが、「この場合は回避優先すべきだ、先手取られたんだから」と言う相澤の捕縛器具により捕らえられてしまった。
「八百万さん行ってください…っ」
当初の作戦通り静は八百万を先に行かせ、相澤と相対する。
「そういうアレか……だが照己、個性の使えない状態でどうするんだ」
自身を浮遊させようとするも、相澤により個性を消され、静は抵抗する間もなく轟と同じように捕まってしまった。
そして足元にはマキビシが撒かれ、拘束から抜け出すことを困難にされる。何とも嫌らしい対策だ。
「どうだ? ヒーロー殺しの時とは違う、ヒーローの個性も人数も知ってる迎撃態勢バッチリの敵は」
思わず唇を噛む。これが本来のヒーローの戦闘なのだ。
「それにしても随分と負担の偏った策だな。戦闘に不向きな八百万を慮るのは立派だが、もう少し話し合っても良かったんじゃないか?」
そう言い残して八百万の後を追って行く相澤。確かに彼女は何か言いたげな様子があった。それを聞かず、勝手に策を決めてしまったのは誤りだったのだと静は感じた。
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