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オールマイトを筆頭に、プロヒーローが四人と武装した警察の突入。シンリンカムイの個性で縛られた敵は、優勢が入れ替わったことに気がつく。そして、一瞬前に自分たちを壁際に抑え込んだあの強い力が無くなっていることも。
「怖かったろうに……よく耐えた!」
オールマイトはエッジショットが開いた扉を振り返った。その前で立ち尽くす少年と、彼に支えられてゆっくり目を瞬いた少女。
「ごめんな……もう大丈夫だ、少年少女!」
「こっ……怖くねーよヨユーだクソッ!!」
ついいつもの調子で反発してしまったが、オールマイトはぐっと親指を立ててそれを受けた。
「だったら爆豪少年、彼女を…頼んだぞ!」
そう言われてはっとする。オールマイトのスマッシュの勢いで後ろに倒れそうになった静を、咄嗟に庇ったままだった。視線を下げれば、水色の瞳とかち合う。
「チッ、ほどいてやるから動くなよ」
そう言うと、静は二、三度目を瞬いてから、おずおずと頷いた。爆豪は静の口布や縛っている縄をほどく。一方で仲間が取り抑えられた死柄木弔は何かブツブツと言葉を発し、そして突然叫び出した。
「黒霧、持ってこれるだけ持ってこい!!!」
だが、そう叫びながら黒霧に命令しても何も起こらず、シーンとしていた。なぜならば彼らの戦力ともいえる脳無は、所定の位置にはなかったのだ。そう伝えた黒霧も、聞かされた死柄木弔も、その動揺を隠すことができなかった。
「敵連合よ、君らは舐めすぎだ。この子たちの魂を、警察のたゆまぬ捜査を、そして我々の怒りを。おいたが過ぎたな……、ここで終わりだ死柄木弔」
敵連合のもうひとつのアジトとされる脳無格納庫は、別で動いていたプロヒーローたちや警察の手によって制圧。
よって、攻撃手段を失った敵連合は、黒霧の個性で逃走しようとした。しかし、プロヒーローエッジショットの個性によって黒霧は気絶させられ、敵連合はついに退路をも断たれた。グラントリノは、完全に捕らえられた敵へさらに追い討ちとばかりに、警察のたゆまぬ努力で分かった素性をつきつけた。
「もう逃げ場ァねえってことよ。なァ死柄木、聞きてえんだが……、お前さんのボスはどこにいる?」
「……………………ふざけるな、こんな……、こんなァ……。こんなあっけなく……、ふざけるな……、失せろ……、消えろ…………」
死柄木弔は、目の前のオールマイトを睨みながらブツブツと言葉を並べた。
「奴は今どこにいる、死柄木!!」
「お前が!!!嫌いだッ!!!」
そして、死柄木弔が叫んだ瞬間、黒い液体がバシャバシャッと大量の脳無を出現させた。この思ってもみない非常事態に、場は一気に混乱する。
「シンリンカムイ、絶対に放すんじゃないぞ!!!」
次々に黒い液体から現れる脳無に、プロヒーロー達の表情には焦りが浮かぶ。爆豪は一瞬、戦うべきか逃げるべきか迷った。普段ならば即座に前者を選んだだろう、しかし今は、腕の中にいる彼女を任された。
ぐっと奥歯を噛み締めたその一瞬で、喉からどろりとしたものがせり上がってきた。咄嗟に静を突き飛ばし、息苦しさに口を開くと、ごぽり。床に腰を打った静が、爆豪を見上げて目を見開いた。思わず静が手を伸ばそうとしたが、爆豪と同じどろりとしたものは彼女の身体にも巻き付いてきた。
「っだこれ……!体が……飲まっれ……っ」
「ッ……ァ………オール、マイ……」
声に振り返ったオールマイトがこちらに向かってくるのが見えた。
「爆豪少年!?っっ、…静ぅ!!!!ノォォオオ!!」
それに応えるための腕もすでにどこかへ消えていて、薄れゆく意識の中、静は自分と同じ水色の瞳が最後に見えた。
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