その家族、里最強2
夕方、久々に兄弟全員が揃い、それぞれ疲れているにも関わらず家の手伝いを率先してやってくれていた。
そしてもうすぐ夕飯の支度が整う頃、はたけ家の大黒柱の帰宅の時間となっていた。
「ただいまー、いやー、今日もつかれ……グフッ」
「あれ、親父いたの?わり、見えなかった」
醤油を切らしていたため、ニコエはホタルからおつかいを頼まれていたのだ。
そのニコエはカカシの帰宅と重なり、あろうことかカカシが玄関の扉を開け入ったところで彼の背中に飛び乗ったのである。もちろんカカシは自分の背中の上に突然男一人分の重りが乗っかり、体勢を維持できずそのまま顔ごと前方に倒れたのだった。
「お前ね…わざとでしょ。なんでオレが視界に入らないのよ」
「いや、醤油で頭一杯だった」
「上忍が醤油一つで頭一杯になるな!てかいい加減にそろそろ降りなさい、いつまで乗っかってんの?!」
「へいへい」
スタッと背中から降りたニコエは素早く靴を脱ぎ、そのままダイニングの方へ行ってしまった。
どう考えても偶然起きた出来事ではない。完全にわざとされたのだ。
「ったくアイツら三つ子は…」
元々昔から父親限定に悪戯を仕掛けてくることが多い三つ子たち。一体誰に似たんだか、とカカシは肩を落とす。
とはいってもこれも日常茶飯事でもう慣れたものだった。いや、あまり慣れたくなかったのが本音だが。
仕事帰り、疲れた身体を起こし服についた汚れを払っていると、リビングから顔を出したのは女神だった。
「あら、あなた。おかえりなさい。今日もお疲れ様でした」
「ほ、ほ、ホタルちゃ〜ん…っ!!」
愛しの美人妻に笑顔で迎えられ、先ほどの疲れは何処へやら、嬉しさのあまり彼女の方へ真っ直ぐ飛び込もうとした。が、
「ふふ、早くお風呂に入っていらっしゃいな。今日はナスのグラタンですよ」
「は、はい…」
ヒョイッと避けられてしまい、再び床にそのまま倒れ込んだカカシは泣く泣く風呂へ向かったのであった。
▽▲▽
「「「いただきまーす」」」
全員で手を合わせ、全員で夕飯を食べる。
珍しく家族全員が揃った光景に、ホタルは嬉しそうに見つめる。
そんな微笑ましい光景とは反対に一つの闘いも繰り広げられているが。
テーブル中央に置かれたナスのグラタンを一つ取ろうとしたカカシ。
しかし、皆既に一人一つ取っており、残りはカカシの分であろう一個だった。
それを当然のように掴もうとしたのだが、ガシッと別方向から誰かの箸が止めに入ってきた。
「ッ、イチタ!お前ね…」
「ラストは…渡さない」
「いや、それ人数的にオレのだから!いいから離しなさい!」
「オレ、もーらい」
「あ!こらサンリ!それは父さんの!」
「ッ、まさかフォークで止めにかかるとはね…」
「任せろ、あとはオレがやる」
「フッ、お前達三つ子は父さんを甘く見過ぎだ。見よッ…コピー忍者はたけカカシの技、必殺両手取………!?ヒィイイ!!!」
「「!!?」」
先ほどまで勇ましかったカカシは何処へやら。突然、心底恐ろしそうに手を引っ込めた。
何事かと三つ子も父親の視線の先を追うと、目に映ったのは、今にも氷の刃を出してきそうなほど冷たい瞳で笑顔をつくっているホタルであった。
「あなたたち……今はご飯中よ?喧嘩なら外でお願いしますね…?」
「「「すいませんした…」」」
最強と言われるはたけ一家だが、彼等も一般家庭と変わらず、かかあ天下の元では逆らえないのだった。
「…もぐもぐ。ウドク!このグラタンうめーな!」
「あれ、セイタ…さっきも食べてなかった?」
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