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《ティオネ・ヒリュテ》
【料理Lv. 3 技(スキル):良妻賢母(フェイクフェイス) 男に強力な魅了(チャーム)使用には多大な負荷を伴う】
「料理の基本は手間を惜しまず」
テキパキテキパキと籠に入った数個のじゃがいもを脇にセットして、まな板の上に包丁を乗せ、中央に置く。
もう片方の脇には水を入れた鍋をセット。
「細やか……な
気配……り……が」
ちまちまと包丁でじゃがいもの皮を剥き、
とんとんとんと包丁でまな板の上に置いた食材を刻み、
ちょろちょろと水を張った鍋に調味料を加える。
その様はぎこちない。
「せんさ……いな……
味……を……」
ぐしゃっとじゃがいもを握り潰し、ざくっと乱雑に食材を切り始める。
ぶしゃっと調味料を鍋の中に全てぶちまけ、
「あーーーもうっじれったいわね!!」
包丁を順手で刃を下にして持ち、ドスドスドスドスドスっとまな板を何回も突き刺す。
「怒った……!」
そんなティオネに何故か
パチパチパチパチと拍手を贈るアイズ。
「ムリするからー」
「……ストレス溜まってるんですね」
「…似合わないことするからよ」
そのあとはレフィーヤがつくり、
「できました!〈ダンジョン産野草のクリームシチュー四色ハーブ幸せ盛り〉です!!」
「「「「おおおー!!」」」」
色鮮やかに仕上がった見るからに、おいしそうな料理を見てアイズ達、3人は感嘆の声をあげる。
一方でソフィアは漸くまともな料理が出てきたかと、先ほどの二人を思い出し半ば呆れていた。
「この料理はですね!戦闘で不足がちな塩分を多めにしつつ、あらゆる種族・年齢・健康に配慮した栄養バランス、
隠し味のエルフ特製ハーブで疲れも消えちゃうんです!」
やりました!やった!
こんな私でもアイズさんのみんなの役に立てましたー!!
舞い上がるレフィーヤだったがガッと足を挫き、倒れこみ、べシャッと料理を盛った皿を地面にぶちまけてしまう。
まるでお決まりのような展開に全員言葉を失う。
「うわー全部こぼれちゃってるよ」
「どうにもならないわね」
「うぅっ……」
両膝と両手を地面について落ち込むレフィーヤに、アイズは左手をレフィーヤの頭にのせた。
「……泣かないで」
「アイズさん……」
「……みんな、がんばってくれたから」
包丁を両手に逆手で握るアイズ。
「今度は私の番!!」
剣姫と呼ばれる彼女がつくる料理。一体何が出来上がるのか、レフィーヤを筆頭に全員が出来上がりを待ち望んでいた。しかし――
「……アイズ……それは料理じゃない……切っただけ……」
「━━━!!?」
アイズは自分の作った(切った)乾パンを見て戸惑う。
「あぁ〜〜〜でもでも
ちゃんと食べれますから!」
すかさずレフィーヤはフォローする。
アイズはそのレフィーヤに目を輝かせ、ズイッと料理?を勧めるが、
「えっ乾パンだけはちょっと……せめてスープも」
アイズは混乱して自分の料理?を再び深刻に見つめてしまう。
「スミマセン!スミマセン!!
私がぜいたくでしたー!!」