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本営のテントの内部。簡易な絨毯の上にソフィアとアイズは、ロキ・ファミリアの第一級冒険者二人と団長のフィンの前に正座をさせられていた。
「何故、呼び出されたかわかるかい?アイズ……それにソフィア」
「……うん」
「なんで私まで正座…」
アイズの素直な応答に対してややひねくれ気味のソフィアの応答。
「まぁ…ソフィア、君はそうだろうね。アイズは、わかっているなら話は早い」
高さの低い折り畳み式のイスに着いている
団長、フィン・ディムナ。両膝に両肘をかけて手袋を着けた両手の左手に右手を重ね、アゴの前で維持している。
「どうして前線維持の命令に背いたんだい?」
両手の指を交互に組合わせながらフィンは話を続ける。
「アイズ。君は強い。だからこそ組織の幹部でもある。内容の是非を問わず君の行動は下の者に影響するんだ。
特に今回は初陣のソフィアもいたんだ。わかるだろ?」
フィンは手を拡げ、両手の指先を重ねてからアイズに問いかけた。
「窮屈かい?今の立場は」
問われたアイズは本音をつかれたのか、うつ向きつつも、目を見開いた。
「……うぅん。ごめんなさい」
「まぁそう言ってやるなフィン」
フィンの右側に座っていた大柄の年長者。
【ロキ・ファミリア】第一級冒険者、ガレス・ランドロックが口を開いた。
「アイズもわしら前衛の負担を軽くしようとして、あえてやったんだろう」
「それを言うなら詠唱に手間取った私の落ち度もあるしな」
両側からアイズへの援護射撃をくらいフィンは左手の人差し指で、ヤレヤレと左頬をかく。
「アイズ…ここはダンジョンだ。"何が起きるかわからない"。
そしてレフィーヤ達全員が君のように動けないし戦えない。それだけは覚えておいてくれ」
「……わかり……ました……」
アイズがポツリと声をこぼす。
「さて、次は君だ。ソフィア。君にアイズに追随しろと指示したのは僕だ。
だけど先輩が命令無視したら君だって注意してくれていい。いいね?」
「……分かった」
「うん。なら以上だ。キャンプの準備に戻ってくれ」
「……心配だな」
「そうだね……」
本営のテントから出ていくアイズとソフィアの背中を見ながら、リヴェリアとフィンは言葉をこぼす。
「強くなるのはいいことだよ。彼女たちにとっても僕ら、ロキ・ファミリアにとっても」
「だがアイズはひた向き過ぎる。強さを求めるあまり誰にもついて行かれない場所に独りで行ってしまいかねん…」
二人に数秒、沈黙が続いた。
「…いや、今までならそうだろうね。
でも今は、ソフィアがいる。彼女だけはアイズについていける。
きっと、もっといい仲間になれる。ソフィアとアイズの交流…そして成長が僕は楽しみだよ」
団長フィン・ディムナはファミリアの将来を見据えてそう言う。
「そう……かもしれないな」
「お前ら心配性だのー。ふけとるのー。見た目若いのに」
ガレス・ランドロックは、なかば呆れながらフィンとリヴェリアを見て素直な感想をもらす。