《窮屈かい?今の立場は》

見抜かれてる、わかってる、ここはダンジョン
私の一番はみんなを、仲間を守ること
ムチャをしてはいけない……
……わかってる……のに

止まることができない

どこまでも

私は強くなりたい

「深刻な顔をして何考えているの、アイズ」

横に並んでいるソフィアは先輩であるアイズに問いかける。
実力ではソフィアが上であるが、ファミリアの中では新参者であり、今回の遠征でもロキ・ファミリアの動きに着いていくため同じ剣士であるアイズの下に付くことになっているのだ。

「……別に、何でもない…」
「…どうせもっと強くなりたいとか、そんなところでしょう」
「っ!?」

ソフィアに図星をつかれて一瞬戸惑うアイズ。

「この階層まで貴女のあとを追っていれば、貴女が何を思っているか…嫌でも伝わってくる」
「……」
「私はパーティを組んだことがないから、誰かに指示されて動くとか今までなかったけど…これだけ大きなファミリアで陣を組んで実際に戦ってみて、連携がモノをいうこともあると思った。
だから命令には従っておくべきよ。別にあの人(団長)に言われたからじゃないけど」

小人族(パルゥム)の剣士と呼ばれるソフィアの言葉は、今まで独りで戦ってきたものだからこそ言えるものでもあり、仲間の大切さをお互いに確認しているようでもあった。

***

キャンプの準備に向かうソフィアとアイズ。

「ア、アイズさん!」

自分の名を呼ぶ声に振り返るとアイズは足を止めた。
山吹色の髪を後ろでまとめた少女が立っている。
顔の両端に垂れる一房の髪から伸びるのは、木の葉のように細く尖った耳。
容姿端麗で知られる、エルフの種族だ。

「先程は助けていただいてっありがとうございました!いつもいつも足を引っぱってしまって……その、すみませんっ!!」
「……怪我は平気、レフィーヤ?」

己を恥じるように何度も頭を下げるレフィーヤに、アイズはそう尋ね返す。
動作が一々緊張気味の彼女は目を見開き、全く問題はないと何度も主張した。

「本当にすみません…守られているだけじゃいけないのに…。
ソフィアさんみたいに、アイズさんの、みんなの役に立たないといけないのに……いつも私は……」
「私は…大丈夫だよ…大丈夫だから」

ふと表情に影が差し、悔いるようにうつむくレフィーヤ。アイズは言葉の通りに伝えるが、後輩にあたる少女は顔を上げようとしない。
ソフィアと同じく感情の表現が乏しいことに自覚のあるアイズは、困り果てて考え抜いた末、おもむろに手を伸ばした。
そして右手をゆっくりとレフィーヤの頭にのせる。

少女が肩を揺らす中、その滑らかな山吹色の髪を、ぎこちない動きで撫でた。

「大丈夫だから」

顔を上げたレフィーヤの瞳が、ぐっと潤みかける。
しばらくなされるがままにしていた彼女は、頬を若干染めた後、「も、持ちます!」と言って勢いよくアイズの荷物を奪う。
あ、と天幕のための布地がアイズの腕から消える。

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