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 先日の自宅侵入事件以降、男は何故か頻繁にユリの家を訪れてくる。と言っても何処からか勝手に入ってくるので、結局侵入してくることには変わりないのだが。しかし、ユリにとっては迷惑甚だしい限りだった。その理由として第一に―――

 「何だ、まだ着替えてたか」
 「っっ、で…ですから…着替えてるときに入ってこないで!」

 自分が着替えをしているときに、何処かで見ていたとでもいうのか、殆どの場面で見事にタイミング悪く出くわすのだ。
 そしてさらに――

 「ワタシ腹減たよ。何か作れ」
 「……あの、私これから寝ようと」
 「不味いもの作たら殺す」

 突然入ってきて(つまり家宅侵入)早々に、まるで自分の家かのように御飯の催促をされる。断ろうにも彼には自身の秘密を握られているし、何より極悪人を前にしてそんな勇気のあることはできない。結局その日の夕飯の残りものと、冷蔵庫にあった食材で在り合わせを作って出す。しかし彼は大体深夜近くに来るので、自分の生活サイクルが崩れがちになることも多々あるのだ。
 彼はああ言っているが、出されたものは基本黙って食べている方だ。だが一回だけ肉炒めにピーマンを使ったときは、ものの見事にピーマンだけ残されたことがあり、好き嫌いはしっかりしているようだった。

 「はい、もうこれ食べたら帰ってくださいね」
 「………」
 「あ、それと帰る前に此処(リビング)の電気、消すのを忘れずにお願いします」

 それにしてもついこの間まで恐怖で話すのさえ怖がっていたいた者とは思えないほど、自然な対応ができるようになっていた。

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