「今日から君達は、めでたく一人前の忍者になったわけだが、しかしまだまだ新米の下忍。
本当に大変なのはこれからだ」
教師であるイルカの声が、静かな教室に響く。
「今後君達は、3人組…もしくは4人組の班をつくり、上忍の先生のもと、任務をこなしていくことになる」
(しゃーんなろー!!サスケ君と組むのは、私に決まってるわ!!)
(チッ……足手まといが増えるだけだな)
(まずサクラちゃんと…それとトモエちゃんも一緒がいいってばよ!あとは…サスケ以外なら誰でもいいや)
思い思いのことを考える3人。他の者達も同じようなことを考えているのだろう。
「力のバランスが均等になるよう、班はこっちで決めた。それでは発表する!
―――続いて第七班!うずまきナルト!春野サクラ!」
「いやったぁぁぁ!!これでトモエちゃんが揃えば完璧だってばよ!」
「ナ、ナルトと一緒…」
ガッツポーズをするナルトと、がっくりと肩を下ろすサクラ。が、イルカの言葉はまだ続く。
「それと、うちはサスケ!この班は4人組でもう1人…雪箆トモエ!!」
「やったぁぁぁぁ!!!」
「サ、サスケと一緒…?あ、でもトモエちゃんも同じ…」
先ほどの雰囲気はどこへやら、ガッツポーズをするサクラと、複雑な表情を浮かべるナルト。
「班分けは以上!」
「イルカせんせー!!どうして俺が、サスケと一緒の班なんだってばよー!!」
相当気に気に喰わなかったらしく、ナルトがサスケを指差し抗議の声をあげる。イルカはナルトに目をやると、そのまま目をすーっと細めた。
「サスケは卒業生28名中一番の成績で卒業。ナルト…お前はドベ!くノ一トップのトモエを入れてようやく安定するレベルだ…いいか!班の力を均等にすると、自然とこうなるんだよ」
その言葉にぐっと押し黙るナルト。そんな彼に、サスケは目を合わせないまま声をかけた。
「フン…せいぜい俺の足引っ張ってくれるなよ、ドベ!」
「なッ…何だとォこらぁ!!」
「いい加減にしなさいよナルト!!」
ワーギャーと騒ぎ始める第七班。そんななか一人だけ、メンバーのバラバラさに不安を覚える…わけではなく、寧ろ楽しそうに一人笑みを浮かべているのがトモエだった。
***
「おっせーなぁ〜!」
他の子供達は迎えに来た上忍の先生について行き……気づけば、室内にいるのはナルト、サスケ、サクラ、トモエだけとなっていた。
「ナルト!じっとしてなさいよ!!」
即効薬だったようで、ナルトの容体は瞬く間に良くなった。今ではドアの隙間から顔を出し、廊下を盗み見るほどだ。サクラが注意すれば、「だって〜、何でオレ達7班の先生だけ、こんなに遅せーんだってばよォ?」と不機嫌を隠すことなくムスッと振り返ってくる。
「ほかの班は、みーんな新しい先生とどっか行っちまったし。イルカ先生も帰っちまうし!」
「知らないわよ。」
ナルトとサクラのやり取りを耳にしたトモエも、チラリと時計を見た。
ゴソゴソ、と鳴り響く物音が教室の前方のドア付近から聞こえてきた。そう、退屈しきったナルトが、お決まりのイタズラを仕掛け始めたのだ。
「ちょっと!何やってんのナルト!?」
「ヘッヘッヘッヘ!」
扉の間に挟まった黒板消し。それが何を意味するかは一目瞭然であった。
「ああー!」と現場へ近づくサクラと同時に、席に腰かけていたサスケの視線もチラリと動く。
「遅刻して来るヤツが、わりーんだってばよ!」
「ったくもー!私、知らないからね!」
悪びれなく笑うナルトに表面上は呆れるサクラだが……。
(こーいうの結構好き〜〜!!)
……実は内心、ワクワクしていた。
「フン。上忍が、そんなベタなブービートラップに引っかかるかよ。」
「そうよそうよ!ホントにナルトってバカ……!」
サスケの意見にすぐさま賛同しかけるサクラ。その言葉が途切れたのは……まさにこの時、額あてで左目を隠した男が入室してきた故である。
担当上忍と思われる男の頭上へ、仕掛けられていた黒板消しが落ちていく。白いチョークの粉を漂わせ、対象者の頭を経由し、床に落下したそれはカタンと小さな音を立てた。
「きゃははは!!引っかかった!引っかかった!」
少しの沈黙の後、弾かれたように大笑いし始めたのはナルトだった。固まったままでいる男を指差して爆笑する少年をよそに、サクラも「ごめんなさい先生!私、止めたんですけどナルト君が勝手に……。」とシュンとしつつ、内心ではテンションが上がっていた。無論、オーケー!の方向で。
(……マジかよ。本当に上忍か?)
子供達が様々なリアクションを示す中、マスクと額あてで顔のほとんどが隠れたその男は、おもむろに黒板消しを拾った。
「んー…なんて言うのかなァ。お前らの第一印象はぁ……ま、嫌いだ。」
「「「……。」」」
にっっっっこり。満面の笑顔でキライ発言をされ、その場の空気はずーんと重くなった。
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