あまり"良かった"とは言えない下忍組と上忍の出会いがあった後、上忍含む第七班は屋上へ来ていた。右からナルト、サスケ、サクラ、トモエの順に四人は屋上にある段に座り、その前の手すりに腰をかける形で上忍がいる。
「そうだな、まずは自己紹介をしてもらおう」
「......どんなことを言えばいいの?」
「そりゃあ好きなもの、嫌いなもの。将来の夢とか趣味とか、ま!そんなのだ」
身振り手振りで何か重大そうに言っているようにも見えるが、実際かなり大げさである。サクラやらサスケやらが胡散臭そうに上忍を見ている反面、ナルトは興味津々に身を乗り出す。
「あのさ!あのさ!それより先に、先生、自分のこと話してくれってばよ!」
「あ、オレか?オレは"はたけカカシ"って名だ。好き嫌いをお前らに教える気はない。将来の夢って言われてもなぁ......ま!趣味はいろいろだ」
「……結局分かったの、名前だけじゃない?」
鋭いツッコミを入れるサクラに、「うん。」と頷くナルト。微妙な空気を漂わせる子供達をよそに、カカシは「次はお前らだ。」と話を進めていく。「まずは、お前からだ。」と指名されたナルトは、気を入れ直したように右手を額あてへ添えた。
「オレさ!オレさ!名前はうずまきナルト!好きなものはカップラーメン!もっと好きなものはイルカ先生におごってもらった一楽のラーメン!」
ラーメンに乗ってる具材の名前だけはある自己紹介である。
「将来の夢はぁ、火影を超す!んでもって、里の奴ら全員に、オレの存在を認めさせてやるんだ!」
続いたのは、前述のラーメン云々からは想像もできないような大望だ。チームメイト三人の反応は多種多様、呆れている顔から微笑んでいる顔まで。
「趣味は......いたずらかな」
最後にずっこけそうな自己紹介をしたナルトに、トモエがクスッと笑うと同時、ナルトを見ていたサクラはやっぱりナルトねと言うように首を振る。カカシは苦笑した後、「次」とすぐに話題を切り替えた。
「名はうちはサスケ。嫌いなものならたくさんあるが、好きなものは別にない」
キラキラと瞳を輝かせていたサクラはそこでガクンと肩を落とした。だが、それまで緩んでいた空気は次の瞬間からぴりっとしたものになる。
「それから、夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!一族の復興と......ある男を必ず、殺すことだ」
サスケの目のぎらついた光は嘘などついていなかった。幾段か沈んだ空気の中で、ナルトは身を引き、カカシは目を細めている。頬を染めるサクラは大物だ。トモエはサスケから目を逸らしていた。
「......じゃあ、次ね」
少し重たくなった空気を払うように、相変わらずやる気のなさそうな調子でカカシが言う。女の子特有の恋する表情をしたサクラは「ハイ!」と元気よく返事をした。
「私は春野サクラ!好きなものはぁ、っていうか、好きな人はぁ......えーっとぉ、将来の夢も言っちゃおうかなぁ......」
そこで、甲高い声。ちらちら見ている視線の先のサスケは仏頂面のままのようだが。
ナルトはあからさまにぶすっとしている。無理もない、サクラがサスケを好きなように、ナルトはサクラが好きなのである。しかも極めつけ。
「嫌いなものは、ナルトです!!」
「ひでーってばよう......」
大きな石が頭の上に落ちてきたような衝撃を受けたナルトは、一人涙を流した。サクラの前には強がりなイタズラ小僧も形無しだ。
トモエは思わず笑ってしまい、サスケの自己紹介時の暗さは完全に霧散していた。
「じゃあハイ、最後」とカカシに促され、「はい」と笑顔で頷く。
「雪箆トモエ。好き嫌いは特にありません、趣味は読者。夢はそうですねぇ…素敵なお嫁さんですかね」
「トモエちゃん、それってもしかしてオレの…!?」
「…で、ほんとの夢は?」
「内緒です」
そう言って何故か嬉しそうに笑みを浮かべるトモエ。カカシは呆れたように溜息をつき、サスケだけがバツが悪そうに目線を逸らしていた。
「......よし!四人とも個性豊かでおもしろい!」
個性が強いということは、まとめるのも難しいということだが。
「じゃ、明日から早速任務をするぞ」
「ハッ!!どんな任務でありますか!?」
ずっと"任務"に憧れていたナルトがその言葉に即座に反応する。だがそれはナルトだけではなく他も興味深そうにカカシを見た。
「まずは、この五人だけであることをやる」
えらく間を置いた後、カカシは最後に一言こう言った。
「サバイバル演習だ」
カカシの言ったその言葉に、4人は一斉に不思議そうな顔をした。無理もない。なぜ任務で演習をやるのだろうか。それに、アカデミーで演習は散々やっている。どんな演習なのかをナルトが聞くと、カカシは小さく肩を震わせた。
彼曰く、卒業生28名中下忍と認められるのは、僅か10人しかいないとのこと。残りの19人はアカデミーに逆戻りされるらしい。
つまり、これからやる演習は脱落率66%以上の超難関試験であるということだ。
カカシの言葉にナルトは口をあんぐりと開け、サクラはヒクリと目を動かし、サスケは冷や汗をかいていた。
「ンなバカな!!じゃ、なんのための卒業試験だってばよ!?」
「あれは下忍になる可能性のある者を選抜するだけ」
「なァにィィィ……!!」
「とにかく、明日は演習場でお前らの合否を判断する。忍び道具一式持って来い。それと朝めしは抜いて来い…吐くぞ!」
そうこうしているうちに班は解散となり、カカシも姿を消していた。
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