三十二

「小説基本HTMLテンプレート」です。ここにヘッダー内容(サイトの概要など)


 「いいか。一旦四人バラバラになった場合、例えそれが仲間でも信用するな。今みたいに、敵が変化して接近する可能性がある」

 それはつい先ほどの体験のことで、全員の顔は引き締まっている。今後のための作戦会議である。「それじゃ、どうするの?」と先ほどのことで疑心暗鬼になったサクラは真剣にサスケに問うた。

 「合言葉を決めておく」
 「合言葉?」
 「ああ」
 「それには賛成ですけど、忘れた時悲惨ですねぇ」
 「バカ」

 気の抜けた言葉を返したのはトモエである。サクラが呆れ顔でトモエを小突いた。こういう場合、最も不安なのがナルトであることは間違いないが、トモエもトモエである。

 「緊張感ないこと言わないでよね、トモエ」
 「そうですか?」
 「そうだってばよトモエちゃん!」
 「ナルト、アンタは人ごとじゃないわよ」
 「ええー!?」

 総合的に全員緊張感が足りない。溜め息をついたサスケはまた切り出す。

 「一回しか言わないからな、よく聞いとけ。忍歌、忍機と問う。その答はこうだ......」

 全員の注意が一旦 サスケに向いた。しかし、全員なのは実際 ほんの数秒だけだった。トモエは不意に違和感を感じて、目線を泳がせていた。
 それはトモエだけが感じ取れた違和感。といっても、実体を掴みきれない。自然ではないものがどこかにあるのくらいは解るが、位置も掴みきれない。

 視線を感じているわけでもない。でも確かにどこかに誰かが潜んでいる感覚がする。この傍にいる。
 トモエは目でも確認するが、やはり何も確認できず、オマケにその行動のせいで嫌に低い声がトモエにかかった。

 「おい」
 「……」
 「聞いてなかっただろ、お前......」

 サスケがまた呆れ顔をしている。どうやら集中していなかったことなどバレバレだったらしい。トモエは開き直ったのか、「もう一度お願いします」と眩しい程の笑顔で言うが、「一回だけだっつったろ」とサスケはにべもない。「トモエ......」とサクラにもなんとか言われそうになっている幼なじみに、サスケは呆れまじりに一言。

 「もういい、トモエ。お前はオレから絶対に離れるな」

 サスケに自覚はない。ついでにいうと言われたほうも「ワカリマシター」と棒読みで返すだけで意識のカケラもない。
 その中で唯一悶えてしまったサクラ。しかしどちらも無意識だと分かっているために叫ぶのは堪えた。そりゃもう必死に。

 「ど、どうしたんだってばよサクラちゃん?」
 「うっさい!大体アンタは覚えれたんでしょうね!?」
 「うっ。そ、そんなの当たり前に」

 そんなふうにサクラとナルトが話している間に、トモエは小声でサスケに話しかけた。

 「近くにいますね」
 「みたいだな。感づいてたが、お前の様子で確信を持った」
 「......わかってて言てたんですか?合言葉」
 「こうしたら相手の出方がしぼれるだろ」

 敢えて視線を動かさないサスケを見て、目を瞬いたトモエ。やはり、いつまで経ってもサスケには敵いそうもない。
 サスケは何事もなかったように立ち上がった。

 「巻物はオレが持つ」

 そう切り出したサスケに素早く食いついたのはナルトだった。どうやらやはりナルトも合言葉を覚えきれなかったようである。しかし、ナルトは目的を達する前に、「痛てっ」と頬を抑えた。どしたの、とサクラが聞いてもナルトはいや、と曖昧に返すが。

 それは、唐突に現れた。


 風。


 強風がいきなり四人を襲ったのだ。

 「キャッ!」
 「新手か!?」
 「な、なんだってばよォ!?」

 サスケが叫ぶ。しかし対応できるものは誰もいない。みな自分が吹き飛ばされないこと精一杯で、飛んでくる木の破片などを気にしている余裕もない。

 しかし、トモエの足の力はその一瞬、衰えることになる。
 そのまま軽いトモエの体は簡単に舞い上がってしまう。

「トモエ!!」

 いち早く気付いたサスケが手を伸ばしても、もう届かない。トモエの姿は一路、闇の中。
- 33 -
前へ次へ

しおりを挟む

ページ:
小説TOPへHOME
ALICE+