四十三 第三次試験予選

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 ――省略

 「だーれもいないってばよぉ?」

 殺風景な部屋に、ナルトの声が響く。
 部屋にはほぼ何も無かった。入ってきた扉が一つ、向こう側にももう一つ。そして、壁にかかっている大きな額。達筆な文字がその中に連なっていた。

 「"天"無くば、智を知り機に備え......"地"無くば、野を駆け利を求めん」

 読み始めたのは額に最初に目をつけたトモエ。ナルトたちは一瞬きょとんとした顔でトモエを見た後、その視線の先を辿る。

 「天地双書を開かば、危道は正道に帰す。これ則ち"───"の極意、導く者なり。これは三代目様が書かれたものですね」
 「あそこの文字、抜けてるわね。どういうことかしら」
 「ちっとも意味わかんねえってばよ」

 サクラとナルトが揃って首を傾げる。逐一 意味に気がついたのはサスケだった。"天地双書開かば"の文字に目を走らせ、「天地の書を同時に開けってことじゃねえか」と口にする。
それで、ナルトが片方の書をサクラに手渡した。二人は頷き合って真剣な瞳で巻物を睨む。

 「それじゃあ、開くってばよ......!」

 "ぺりっ"。

 巻物の端をほんの少しつまむ二人。まだ、何も見えていない。全員の緊張が最高にまで達する。

 "べりっ"。

 そうして、二人は一気に巻物を開いた。見えた文字は、"人"だった。

 「......な、なんだ、こりゃ」
 「"にん"?」

 ナルトとサクラが困惑した顔で首を傾げる。同じく書を覗き込んだトモエは、しかし二人とは違う反応を示した。

 「その術式は…あぁ、なるほどそういうことですか」
 「えっなに!?」
 「なんの術なんだってばよトモエちゃん!」

 しかし、言い出したのはアカデミートップのサスケのほうが早かった。

 「口寄せの術だ!ナルト、サクラ!とっととその巻物はなせ!」
 「え、お、おう!」

 曖昧な返事をしたナルトとサクラはすぐさまサスケの言う通りにした。額があるほうにころんと転がっていく二つの巻物。

 すると、いきなりぼわんと煙が吹き出していた。四人は思わず身構える。四人の瞳に映る煙の向こう側。徐々に消えていく煙は次第に"影"を映し出す。
 現れたのは、全員がよく知っている人物だった。

 「よう。久しぶりだな」

 四人のアカデミー時代の教師、イルカがそれから告げたのは、第七班の二次試験合格だった。

 ***

 中忍の心得をしっかりと説いた後、イルカは第七班を広間へと連れてきていた。「頑張れよ」と最後に言い、イルカはその先へと進んでいく。
 広間の中心には合格した下忍達が、その奥には担当上忍や関係者たちが。


 三代目は合格した下忍達に、労りの言葉とこの試験の目的について話を進めた。
 合格したチームは僅か七つ。音、砂の班が一つずつ、そして木ノ葉が五つ。ほぼ全員が疲労困憊気味だが、三代目の言葉に耳を傾けていた。

 同盟国同士が試験を合同で行う理由。同盟国同士の友好、忍のレベルを高めあう、その真の意味。同盟国間の戦いの縮図。そして国の戦力を見せつける場。"国同士の友好"という言葉には、そのままの意味はなく、お互いのバランスを保つ、という裏の意味があること。

 重々しい内容は数分かけて話された。下忍達の多くは巨大な国というバックに不満を持ったようでもあった。いつもは穏やかな面持ちの三代目も、この時ばかりは厳格なものであった。

 「なんだっていい。それより、早くその命がけの試験というヤツの内容を聞かせろ」

 興味無さげに言ったのは我愛羅であった。三代目は特に咎めることも無く、「うむ」と返す。しかし、「ではこれより、第三の試験の説明をしたいところなんじゃが」と言ったきり、三代目は言いにくそうに言葉を濁した。
 するとその時、突然三代目の前に跪いた者がいた。

 「恐れながら火影様。ここからは審判の仰せつかった、この月光ハヤテから」
 「任せよう」

 現れた人物は、実に不健康そうな若者である。立ち上がり、下忍達に振り返ったハヤテは、「皆さん初めまして」という言葉と共にいきなり咳き込んだ。
 これでもかというほど不健康なところを見せつけたハヤテは、ようやく言葉を続けた。

 「皆さんには、第三の試験前に、やってもらいことがあるんです」

 そうしてまた何回か咳き込んだあと、色素の薄い唇がようやく言葉を繋ぐ。

 「えー。それは本戦の出場をかけた、第三の試験。予選です」
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