サスケとヨロイの対決は、意外にも苦戦した。しかしサスケは自らの意思で暴走しかけた呪印をねじ伏せ、見事勝利。
そんなサスケの肩に、ぽんっと手を置く担当上忍。
「こいつは俺が預かるから」
いきなりの登場に、サスケは目を見開く。カカシはイチャパラを片手に、サスケの呪印を覗き込んだ。
「これから奥に連れてって…呪印を封印する」
「封印…ちょっと待ってくれ、本選に残る奴の試合を見たいし、それに…」
サスケの視線の先には、ナルトとサクラの間でこちらを見つめている幼馴染の姿。
カカシはチラリとそちらに目をやると、やけに大袈裟なため息を吐いた。恐らくサスケはトモエの試合を見届けてからにしたい、そう言いたいのだろう。
「お前ほんっとトモエ好きだよねー」
「なッ…何言ってんだ!!」
「いやいや、気づかない方が無理だから。まぁとにかく…そう熱くなるな。
これ以上放っておけば、取り返しのつかないことになりかねない――「何がですか?」
そこへ聞こえてきたのは、いつの間にかカカシたちの傍まで来ていたトモエだった。
「なーんでお前まで来ちゃうのよトモエ」
「わざわざカカシ先生が労いの言葉をかけに来るとは考られなかったので。
何やら興味深い話が聞こえてきましたけど、私も連れて行ってくれませんか?」
「はぁあああ、ったくこの子は…」
どうやら二人たちの話を理解していたようだ。カカシとサスケの前にやってきたトモエは、チラリとサスケの首筋に目をやる。
試合を見ていて、サスケの呪印が暴走しかけたのに気付いたのだろう。勘の鋭いトモエにカカシは重い溜息をついた。
「トモエ、ついてくるったって、お前の試合は何時終わるか分かんないでしょ。サスケのは直ぐ封印しないと……」
その時だ。電光掲示板に第二回戦出場者の名前が表示された。
次の試合は――雪箆・トモエVSグサ・コウガ
「直ぐ終わらせます。それでいいでしょう?」
「…ハァ、はいはい」
カカシは再び重い溜息をついた。
対してトモエは試合場所に目を落とす。表情は微笑んでいるが、その目は何処か冷めていた。
そこには既にグサが立っており、こちらを殺さんばかりの目つきで睨んでいた。
「雪箆トモエさん、下りてきてください」
審判のハヤテの声がする。カカシに小さく頭を下げると、トモエはその場から下に行こうとして…
「トモエ!」
サスケの声を聞いて、足を止める。振り返ったトモエにサスケは僅かに口端を上げた。
「無茶すんなよ」
その横でカカシがサスケに同意するように頷く。トモエはそれを見て、笑った。
「誰に言っているんですか」
***
「えー、それでは…第二回戦を始めます」
対するように立つのは、トモエとグサ。
お互い口元に笑みを浮かべているが、その空気は酷く冷たい。
「トモエちゃぁぁん!!そんな奴に負けんなァー!!」
「やっちまいなさァい!!」
ナルトとサクラが声をあげる。サクラはナルトに比べて不安そうな顔だが、その目はトモエを信じていた。
「ゴホ…では、始め」
合図と共に刀でトモエに斬りかかるグサ。トモエはそれをクナイで受け止め力いっぱい押し返す。しかしグサはすぐにまたトモエに刀を向け、場内に金属音が響く。
(風遁・風手裏剣)
見えない刃がグサを襲い、防御の体制で致命傷を避けた。その隙にトモエは相手の後ろに回り込み、蹴りを喰らわせる。
(こいつ、本当にこの間のヤツと同一人物か…!?動きのキレが全く違う!!)
トモエの蹴りを喰らったグサは飛ばされた先にある壁を蹴り、トモエに刀を向ける。
それを見たトモエはホルスターからクナイを三本取り出しリクに放つ。
「そんなもん当たるかよ!」
グサはクナイを弾こうと刀を振る。刀の刃がクナイに触れる寸前、そのクナイの柄に起爆札が巻き付けてあることに気が付く。
ドオオオンッ、起爆札特有の爆発音が響き、辺りは煙に包まれる。
「氷遁・氷縛陣」
「く…っ」
するとグサの体は足下から徐々に氷に包まれ、少しずつ自由が奪われる。
「あらあら、もしかして私が二度も同じ相手に苦戦するとでも思ってました?」
楽しそうに笑いながらゆっくりとザクに近づいたトモエは彼の首元にクナイを宛てがう。首に金属の冷たさを感じたグサは、舌打ちをして降参した。
「勝者、雪箆トモエ」
それを聞くとトモエは淡々と術を解く。ここまでの時間、僅か三分程しか経っていない。
全く疲れを見せていない彼女の姿、森の中で戦ったときとは大違いの結果となった。
「やっ……たってばよ!!トモエちゃん!!」
「トモエッ良かった…!!」
時が止まったような観客席ではあったが、ようやく我に返ったナルトが思わずガッツポーズをし、まるで自分のことのように飛び跳ねる。
安堵の息を吐いてその場にヘナヘナと座り込むサクラ。二人だけではない。木ノ葉の下忍全員が、その結果に笑みをこぼした。
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