五十

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 ナルトとネジの試合は壮絶なものだった。
 ネジが有利だと見られていた試合でナルトは驚異的な粘りをみせたのだ。
 そして試合の最中、ネジは日向家の宗家と分家の悲しき運命をナルトに語った。

 ネジは分家にあたり、宗家に逆らうことは絶対に許されなかった。父は宗家を守るため身代わりになって殺されたと言うネジが宗家の娘であるヒナタを憎むのも仕方ないことだったのかもしれない。

 そしてネジの額には印が刻まれていた。宗家によって支配されていることを意味する呪いの印。分家は宗家を守るためだけに生かされている。歯向かおうものならその呪印を利用して宗家に殺されてしまう。

 ネジの憎しみは相当なものだった。

 しかしナルトはネジにやられボロボロの身体でありながら「それで何?」とネジに言い切った。

 ナルトは知っていた。ヒナタは宗家の人間でありながらまだ未熟で、周りから認められず悩んでいた。苦しんでいるのはネジだけではないのだ。

 運命は変えられないと言うネジのことがナルトは許せなかった。本気でそう思うのならなぜ予選でヒナタと戦った時あそこまで彼女を痛めつけたのか。本家を守るためだけに存在するという分家のネジ、本当はネジこそが自分の運命を変えたいともがいているのではないのか。

 負けるわけにはいかない。
 ナルトはネジに点穴を突かれチャクラを練る事ができない状態だがまだ勝つことを諦めてはいなかった。

 ナルトはその思いから九尾のチャクラを引き出すことに成功したのだ。

 九尾チャクラを纏ったナルトとネジの八卦掌回天が激突し、ネジがなんとか耐えナルトは失神したかに見えた。

 しかし実はナルトはネジの技によって弾き飛ばされてすぐに影分身と入れ替わっており、地中を掘り進んでいた本体のナルトの奇襲でネジがノックアウト。
 完全に予想外のナルトの勝利に終わったのだった。

 勝利したナルトをみてトモエとシノのとなりにいたシカマルは落ち込んでいた。

 「あいつだけは俺と同じイケてねー派だと思ってたのに…キャーキャー言われてもうイケてる派っぽいじゃん」
 「え、シカマルくんイケてない派なんですか?それはお可哀そうに。あ、まさかそれでナルトくんと一緒につるんでたんですか、わー、連れションする女の子みたいなことしてますねぇ。意外です。ちなみに私はどちらでもないですよー」
 「……お前、相変わらずいい性格してんな」
 「…トモエも充分"イケてる派"だ、」
 「あはは、ありがとうございますシノさん。優しいですね」

 ***

 試合終了後、シカマルの友人達は皆何故あそこで彼がリタイアしたのかわからないでいた。

 しかし上忍達は違った。あの状況で己の能力と技術を判断し最悪の窮地とみれば冷静に引くことができるシカマルは、中忍に必要とされる心理的要素で言えば最も大切なリーダーとしての資質を備えていると評価した。
 任務をこなすよりも小隊を危機から守り抜くことが出来る者こそが中忍になれるのだ。

 自分達の元に戻ってきたテマリをみたカンクロウは焦りを隠せない様子で口を開いた。

 「お、おい…いよいよじゃん…あいつホントに来んのかよ!?」

 しかし我愛羅は冷静に答える。

 「来る…絶対にな」
 
 その表情からは何も読み取ることができなかった。

 ***

 「ん〜!しかし何やってんだあのバカ!まだ来てねーのかぁ!?」

 ナルトがキョロキョロと辺りを見回した瞬間、ブワッと木の葉の竜巻が巻き起こった。
 そしてその竜巻がおさまったとき、二つ分の人影がその中から現れた。

 「いやーー遅れてすみません…」

 それは笑みを浮かべたカカシと、ゲンマの「名は?」という問いに

 「うちは…サスケ」と答えた、どこか以前よりオーラのあるサスケだった。

 観客席にいるサクラは笑顔で彼をみる。そしてその隣にはガイに付き添われたリーの姿もあった。

 「へっ!ずいぶん遅かったじゃねーの!俺とやんのをビビってもう来ねーと思ってたのによ!!」
 「フ…あんまりはしゃぐんじゃねーよウスラトンカチ…」

 現れたサスケをみた砂の忍たちは皆息を飲んだ。木ノ葉崩しの計画決行の時が刻一刻と迫っている。
 そして我愛羅はあまりにも冷たく無機質な声で「ホラ…来た」と呟いた。
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