五十二

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 完璧に自我を取り戻した我愛羅の表情は涼しいものだった。自分の実力に圧倒的な自信を抱いている。だが、それはサスケも同じ。

 「行くぞ!」

 怒鳴ったサスケが手裏剣を取り出して放った。無論 それらは砂にガードされる。一瞬で作り出された我愛羅の砂分身が本体を護るようにして サスケに立ちはだかる。その一瞬を見据え、サスケは手裏剣を放った直後に地を足で蹴った。
 ーースピードはどちらもかなりのものだった。
 サスケが次々に攻撃を加えていく。しかし我愛羅の"強度"も並大抵のものではない。サスケの強い拳を受けた砂分身がようやく散った。今の今まで身動き一つしなかった本体、我愛羅の目がゆらりと動く。
 二人の視線が交差する。しかもその間もサスケは動きを止めない。

 右拳を標的に当てようとした、時だった。

 我愛羅の砂は、それでも"絶対防御"を誇る自動防御の能力を備えている。確かに砂は動いたのだ。砂分身が消えても、健気に我愛羅を傷つけまいと。
 しかしサスケがいた場所は、既にそこではなかった。口元を上げたかと思うと、砂が動いた方面と"反対側"で拳を振りかぶっていたのだ。

 「!?」

 一段と上がったスピード。それは我愛羅に"ある忍"を彷彿させた。我愛羅の目はサスケの姿を追う事しか叶わず、ガードする余裕もなく、我愛羅はサスケの拳に吹っ飛ばされた。主人を護りきれなかった砂の盾がその後をついていく。
 数秒の静寂が場を包み込んだ。砂埃の中で尻餅をついている我愛羅は既に顔を上げ、サスケを不快そうに睨んでいる。その顔に、ぴしりとヒビが入った。

 「それが砂の鎧か」

 サスケは動揺しない。我愛羅も返事をしない。敵意しか交差しない戦場。お互いを倒すことのみを目的とする。「来い」、と静かな低いサスケの声が我愛羅を貫いた。

 ***

 戦況に変化が訪れる時がきた。
 我愛羅の周りを舞っていた砂が、我愛羅を取り囲むようにして球体を作った。出来上がる前にとサスケが攻撃をしかけにいったが、それは意味を為さなかった。今や我愛羅の姿は完全に隠れていた。

 苛立ちに舌打ちするサスケは安易に近づくことはできない。我愛羅を囲む砂の球体の上に現れた、我愛羅の"第三の目"がサスケを監視している。

 だが、これはある意味でサスケにも好都合だった。その両の目に瞬時に写輪眼が宿る。球体から一定の距離を置き、サスケは腕を前にする。左手につけているガードのボタンを、ぱちんと音を鳴らして、外した。

 「(なんのつもりか知らねェが、ちょうどいい。オレのコイツも、時間がかかる!)」
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