五十八

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 砂の中で我愛羅は目を見開いていた。

 「(馬鹿な…!!砂を、いとも簡単に破っただと…!?)」

 一方、二人の戦いを見つめていたサスケは、思わず声をもらす。

 「す、げぇ…」

 彼女があのような術を習得していたなど、全く知らなかった。
 確かに彼女は木の葉でも天才と言われるほどの術師だ。血継限界でもある氷遁は、氷を変形させて様々な武器を扱うが、その中でも特に得意としていた弓矢。
 大量のチャクラがトモエのつくった一本の矢に集中しており、しかしその分、使用チャクラの量は千鳥と比べて圧倒的に多く、威力も大きい。「氷遁・白矢」の術を更に改良させたものなのだろう。

 「ッく…!」

 砂のガードがあったにも関わらず吹き飛ばされ、我愛羅は何本もの木を薙ぎ倒していく。
 それを確認したトモエは、右手を押さえてサスケの方へと向かった。彼女の右手を見た途端、サスケは思わず目を見開く。

 「お前ッ…右腕が…」

 銀嶺弧雀を発動させたトモエの右腕は殆どが氷で覆われ、まるで腕そのものが氷と化してしまったようだ。触れただけで折れてしまいそうな脆さになっている。

 「本当は…弓は、氷で造らない方がいいんですけど……そうも言っていられないので…」

 弓も氷で造るとなると、直に皮膚と触れてしまうので否応なく自身の腕自体も凍らせてしまう。それ故、捨て身に近くなってしまったのだ。
 徐々に腕は元に戻ってきているが、チャクラは使い果たしたも当然。もう彼女は戦えない。
 荒い息のまま、その場に倒れ込むトモエ。サスケが支えようとしたが、彼の身体は呪印に蝕まれており、彼女同様に上手く身体に力が入らなかった。―――その時、

 「イタイ…」

 ゾクリ、と背筋に寒気が走る。吹き飛ばされたはずの我愛羅が、一歩一歩足を進めていたのである。
 先程トモエの矢よって貫かれた腹部からは、ドロドロと血が流れている。しかし傷は回復に進んでおり、彼の目は狂気に満ちていた。

 「痛い痛い痛い痛い…!!」
 「…!?」
 「もう終わりか…!?それほどのものだったか、雪箆トモエ!!」

 効いていない。
 いや、確かに相当なダメージは与えた。
 しかし、チャクラの残りからして威力が思ったよりも小さかったのだろう。サスケとトモエ、この二人はもう戦えないに等しい。
 今度こそまずいと息をのんだ、その時…

 「サスケ!トモエちゃん!」
 「二人とも!」

 誰かが倒れ込む二人のもとに駆け寄ってきた。

 「(アイツら…)」

 テマリが見た人影、それはようやく追いついたナルト、サクラ、パックンだった。
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