六十

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 巨大な口寄せ動物を呼び出したものの、戦いを断られ揉めているナルトとガマ親分。しかし息子のガマ吉に説得され、ガマ親分はやる気になった様子。

 「ガキ、お前を子分として認めちゃろう。落とし前はきちんとつけさせてもらうで」
 「狸寝入りの術」

 我愛羅が眠りに入り、守鶴は目の色を変えて意志を持つ。

 巨大動物同士の戦いの反動は大きく、風圧に飛ばされないことで精一杯だ。あまりにも大きすぎるナルトの成長に、サスケは一時も目を離さない。
 そうして我愛羅に取り憑いている守鶴やナルトが口寄せしたガマオヤブンによる争いは地形を変えるほどに凄まじかった。その激しい闘いの結果、ナルトと我愛羅は立ち上がることも出来ないくらいに疲労していた。

 「いくぞ、バカ狸!」
 「舐めるな!」

 守鶴の頭部にいる我愛羅に一撃を食らわせるため飛びかかるナルトの手足を、我愛羅の砂が捕らえる。

 「コンチクショー!」

 しかしナルトはそのまま我愛羅に頭突きを食らわせ、我愛羅の目を完全に覚ます。すると守鶴にヒビが入り、砂となって崩れてゆく。

 「やったのか?」

 限界を迎えたガマ親分も姿を消し、額から血を流したナルトと我愛羅は、木の間で体を打ちつけながら地面に落ちた。

 「オレの存在は消えない!消えてたまるか!」

 我愛羅は首を横に向け、ナルトを見る。


 【バケモノ】

 【来るな】

 【どっかいけ】


 あまりにも似すぎている二人の境遇。我愛羅も自分と同じ苦しみを味わってきたのだとナルトは悟る。
 言うことを聞かない身体を無理やり動かし、ナルトが我愛羅に這い寄る。

 「く、来るな!」
 「一人ぼっちのあの苦しみはハンパじゃねーよなぁ…お前の気持ちは…なんでかなあ…痛いほどわかるんだってばよ…」

 思いがけないナルトの言葉に、我愛羅は目を見開く。

 「けど…俺にはもう大切な人たちが出来たんだ…俺の大切な人たち…傷つけさせねぇ…でなけりゃーお前を殺してでも…俺はお前を止めるぞ…」

 息を上げながらも必死で言葉を紡ぐナルト。

 「何でお前は他人の為にここまで…」

 我愛羅がそう口を開いた。


 「一人ぼっちのあの地獄から救ってくれた…俺の存在を認めてくれた…大切な皆だから…」


 愛情、以前夜叉丸が我愛羅におしえてくれたもの。身近にいる大切な人に尽くしてあげたいと慈しみ見守る心。
 それを持っているからナルトは強いのか。
 我愛羅は倒れたまま空を仰いだ。

 まだ動こうとするナルトの元にサスケが飛んできた。彼が我愛羅の砂に捕らわれていたサクラの無事を伝えると、ナルトは安心しきったようにフッと笑った。

 『愛情は、自分の身近にいる大切な人たちに尽くしてあげたいと慈しみ、見守る心…』

 『私は逃げないよ。だってキミ、全然バケモノじゃないもん』

 我愛羅の脳裏に夜叉丸の言葉、そしてもう一人――ある少女の言葉が響く。

 「愛情…だからこいつはつよいのか」
 「もういい、ナルト。サクラは大丈夫だ、砂は崩れた」
 「…そっか」

 サスケの言葉に安心したのか、ナルトは力無く地面に顔をつける。

 「…我愛羅くん……辛かったですね。
 "あの時"気づいてあげられなくて……ごめんね」

 トモエは我愛羅の傍にいき座り込んだ。そして彼の頭に優しく触れる。

 「……トモエ、」

 初めて我愛羅がトモエの名前を呼んだ。
それはつまり――

 「やっと…思いだしてくれたの?」
 「…あぁ…」

 幼いころ出会っていた二人。このとき、ようやく再会できた気がした。

 「お前がいたのに…俺は、気付けなかった…」
 
 トモエはハンカチで我愛羅の額の血を拭う。

 「貴方は、自分が思ってる程孤独じゃない。少なくとも……私と貴方は友達ですしね」
 「友達…」

 その時、トモエの後ろにテマリとカンクロウが姿を現す。

 「もういい…やめだ」
 「わかったよ」

 我愛羅が静かに口を開くと、それに従いカンクロウが我愛羅の腕を肩に回して立ち上がると、その場を去った。

 トモエ達の元から去ってしばらくすると、我愛羅が口を開いた。

 「テマリ…カンクロウ…すまない」

 今まで言われたことのない言葉に二人は顔を見合わせて驚いた。確実に我愛羅の何かが変わっている。
 照れ臭さを隠すように「べ、別にいいって…」とカンクロウが答えた。


 その後ナルト達はボロボロの身体を引き摺りながらなんとか里まで戻った。門の前ではシカマルが待ち構えており、ナルト達はシカマルの無事を喜んだ。

 しかし彼の口から悲しい事実が伝えられた。

 三代目火影、猿飛ヒルゼンは大蛇丸との闘いの末、命を落としたと。
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