六十二

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 木ノ葉崩しから数日後、砂隠れの忍たちはある人物の死体を発見した。
 それは風影、及びその付き人数人のものであった。
 そのことから砂隠れは全ての事件の発端が首謀者・大蛇丸の手によるものだということをすぐさま公のものとした。
 更に木ノ葉に対し全面的な降伏を宣言し、木ノ葉もこれを受託する。木ノ葉側としても戦禍の爪痕、そして国力の復旧を急務と考えたのである。


 晴れ渡った空に、笠にぶら下がった鈴の音が響いた。
そこは先日 襲撃を受けた木ノ葉隠れ。二つの影は、平和が戻ってきた里を見下ろしていた。

 「とりあえず壊滅は免れたものの......被害は甚大のようですねェ」
 「......栄華を極めたあの里が、哀れだな」

 漆黒の衣に浮き立つは紅雲。笠を被った二人組はこの青空には馴染まない。

 「柄にもない...。故郷はやはり未練がありますか。アナタでも」
 「............いいや。まるで無いよ」

 酷く落ち着いた声で返したその者が顔を上げれば、笠に隠れていた赤い瞳が、そこから覗いた。運命に関わる者たちは、彼らの来訪をまだ知るよしもなかった。

 ***


 チリーン チリーン


 任務を終え、トモエは明日の食材を買いに里を歩いているときだった。
 どこから鳴っているのか分からないが、あまり聞いたことのない鈴の音が耳に入ってきた。
その音を聞いて、嫌な予感しかしなかったのは何故なのだろう。

 その後、買い物を済ませたトモエは、前方から大きな荷物を抱えたナルトを見て足を止める。

 「…ナルトくん、どうしたんです?」
 「トモエちゃん!へへー!俺ってばこれからエロ仙人と修行しに行くんだってばよ!!」

 エロ仙人とはとんでもない名前だが、敢えて触れないでおこうと思った。

 「へぇ…まずはどこに行くんですか?」
 「んーなんか、里から少し離れたー…歓楽街のある宿場町だったけなぁー…オレ、よく聞いてねーから!アハハ!」
 「まぁ、頑張ってきて下さいね」
 「おう!新しい術できたら、トモエちゃんにも見せてやるってばよ!」
 「はい、楽しみにしています」

 ここ最近目覚ましい程の成長を遂げているナルト。アカデミーで落ちこぼれ、と言われていたのが嘘のようだ。彼には内に秘めた凄い力があるように感じられた。

 ***

 その頃、紅・アスマは里の侵入者と対峙していた。苦戦するところに、カカシが参戦してきたところで、水面で戦っている。

 「二人共、ヤツの目を見るな!」

 カカシが急に叫ぶので、アスマと紅は慌てて目を瞑る。

 「二人共、絶対に目を開けるな…今のヤツと目が合ったら終わりだ…!
 アレと殺りあえるのは恐らく…同じ写輪眼を持つものだけだ」
 「確かに写輪眼を持っていれば、この万華鏡写輪眼に多少の抵抗はできる…
 しかし、この特別な写輪眼の道術、幻術「月詠」は破れない。オレと殺りあえるのは、同じ血継限界をもつ者だけだ」

 次の瞬間、カカシの視界の景色が一気に変わり縛られた自分と、目の前にはさっきの写輪眼を持った男だけがいた。

 「血継限界のないあなたがどれだけ耐えられるか…」

 男は持っていた刀を刺してきたのだ。

 「ぐぁああ…っ!!」
 
 痛みを感じながらも、また次の瞬間には先程刺された傷はなかった。

 「(今のは…幻術…!)」

 目の前には、男が増えており分身のようにも見える。


 月詠の世界では
 空間も時間も
 質量も
 全てオレが支配する
 これから72時間 あなたを刀で刺し続ける
 幻と思って タカをくくらない方がいい
 この苦痛は幻ではない
 この苦痛は 現実のそれと全く変わらない
 いつまで、あなたの精神が持ち応えられるか


 そして数え切れない程の人数で現れた男達は次々と刺していき、カカシの精神はボロボロになっていく。カカシ自身、もうダメではないかと思った。


 しかし、

 ――――――やめろ…!!

 突如として、その「月詠」は破られた。


 「はぁッ…は…ッ」

 「月詠」から解放されたカカシ。おぼつかない視界から見えたのは水であり、現実に戻ったことを改めて知る。そして体に力が入らなくなったように、膝から崩れるが、誰かがそれを支えてくれた。

 うっすらと見えたのは、白色の着物。
 見覚えがある生地だった。
 自分の教え子の一人がこれと同じ生地の服を着ているのだから。

 「…トモエ」
 「大丈夫ですか、カカシ先生」

 白銀の髪をたなびかせ、顔色を伺うように見つめるトモエの灰色の瞳と目が合い、心が少しだけ落ち着いた。
 そしてトモエは正面を見据える。そこに立っていたのは、紛れもなく彼だった。
 何年も、何年も、一度たりとも忘れたことのない顔。

 
 「お久しぶりですね、



……イタチさん」

 そのとき、イタチにはトモエの瞳が、"あの時"とは違って見えた。まるで怒りを秘めたような強い瞳がそこにはあった。
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