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ある日、宿舎でナムヒョンとホソギヒョンが二人一緒にいると聞いて、俺は部屋に訪れないわけにはいかなかった。メンバーの中で比較的に相談しやすくて、尚且つ年上の目線から悩みを聞いてくれると思ったからだ。(ジニヒョンじゃないのは察して欲しいとこだけど。)
「ヒョンたちって最初からユリと仲良かったわけじゃないですよね。どうやってその距離を縮めていったんですか?」
JH「おー?入ってきて早々にこの子は何を言い出すんですかね」
RM「なんだ?ユリと喧嘩でもしたのか?」
「そうじゃないですよ。……そもそも喧嘩するほど話せてないですし」
JH「不貞腐れるなってージョングガー!」
「僕は真剣ですけど」
ヒョンに図星を突かれてしまって思わず取り繕うように言葉を続けたけど、ホソギヒョンは相変わらず一人だけ楽しそうに聞いてるし。ナムヒョンだけはそれなりに真剣に考えてくれそうだ。
RM「うーん、俺はリーダーだからやっぱり皆をまとめなきゃいけない立場だったし、まずは相手を知ろうと努力したな」
JH「俺は結構最初からグイグイいっちゃったかもなぁ。ユリがアメリカのトップアーティストのバックダンサーしてたって上の人から教えられてさ、神童って言われてたし、それで一体どんな子なのかなって興味あったから。
でも、いざ蓋を開けたら良い意味でイメージと違ったから驚いたなぁ」
「それって…」
JH「必死になって俺たちに付いて来ようとしててさ。男女の差って相当なものだと思うけど、それでも諦めないで体力付けて練習してる姿が本当に健気で。周りからは天才だって言われてるけど、実際はとんでもない努力家な子なんだよな」
いつかのテヒョニヒョンと同じことを言っているホソギヒョンは最初のへらへらした様子と違って、凄く真面目に話してくれた。
ナムヒョンもその話を聞いて、同じく頷いているし。彼女の本当の姿を知らなかったのは、メンバーの中で俺だけだったようだ。
ヒョン達はそうやってユリのことを認めることができて、お互いに心を許せるようになったみたいだけど…俺は違ったなあって思う。
「俺ってユリのことが本当に気に入らなくて」
唐突な俺の告白にヒョンたちは笑う。
JH「だろうね。そんな感じは伝わってたよ。口出しして余計にこじれるのはよくないかなって思って黙ってたけど」
そう言うホソギヒョンにやっぱり気付いてたんだって思う。
「ヒョン達にはバレバレだったってことですね」
RM「でもそれは最初の話だろ?今は仲良くしてるし、その前もまあ仲良くまではいかなくてもそんなに負の感情はなかっただろう?」
ナムヒョンの言葉にどうだろうって思う。距離を縮めてみようかなって思ったのは良い関係に一歩近づいたことだと思うけど。でもそう思う前はむしろ無関心だったと思うし。
JH「ジョングガは人見知りもあるしな!お前ら全然会話しないからさ、それはそれでどうしようかと思ってた。ちゃんと仕事は出来てたしいいかってことになったけど」
ホソギヒョンがそう言うから、やっぱりヒョンたちってよく見てるって思って。俺達のことちゃんと分かってるんだな…ほんと俺だけが分かってなかったってことか。
「今もですけど、ユリって積極的に話すタイプじゃないから。本当に俺らの間に会話なんてなくて。得体のしれない存在って思ってました」
JH「ジョングガもなかなか酷いこと思ってたんだね。得体のしれないって」
俺の言葉に全部笑うヒョンたちにちょっとむっとしたけど。自分が悪いから何も言わないでいる。
「でも今はヒョンの言う通り、ユリがすっごい頑張り屋っていうのは俺も知ってます。だから言い方悪いですけど、認められたっていうか、一緒に頑張れたら良いなって思って…」
JH「どんだけ上からなんだよ、お前は〜(笑)」
「とにかく!…俺もヒョンたちみたいに、ユリと…仲良くなりたくて……。でも急に仲良くってどうしたらいいか。……ユリは女の子だし」
男友達なら何となく分かるけど、異性って思ったら難しい。しかも向こうは基本無口だし。
RM「いやあんまり深く考えなくていいと思うけどな。それに女の子だからって構えてると、余計にこじらせると思うぞ?」
「どういうことです?」
RM「うまく言えないけど、ユリ自身が女の子扱いされるのが嫌いらしいっていうか」
「は?」
JH「あー例えばな、男と女は基礎的体力も違うから、どうしても大丈夫かって言っちゃうんだけど、必死こいて俺たちについていこうとするユリからすると勝手に線を引かれたようで嫌なんだよきっと」
「まぁつまり、テヒョナやジミンに接するみたいに、平等に扱ってほしいってことだ!」
RM「俺は結構心配しちゃうなー」
JH「ナムジュナはリーダーだからしょうがないじゃん。ていうか案外皆そうかもよ」
ヒョンたちの説明に俺は首を傾げてしまう。だって俺からしたらユリはやっぱり女の子だし。ズボンを履いててても、髪が短くても、メイクが薄くても。ていうか普通の女の子より華奢で細っこくて、俺なんかが下手に掴んだら折れそうなぐらいだ。
その日は結局、俺なりのやり方が見つからなかった。
そして、どうしたらいいかとまた考える日々が続いていたとき、事件は起こった。