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先日のユリ誘拐未遂事件(リーダー名称)があってから暫くは彼女の心は塞ぎがちだったけど、最近ようやく仕事以外で笑顔を見せるようになったし、心なしか表情が柔らかくなった気がする。
そしてそれと同時に、この御二人の距離感がバグり始めた気がする。
「この後残って練習してく?」
「はい。あ、自分その前にマネージャーさんのところに寄っていくので、先に行っててください」
「いいよ、俺も一緒に行く。途中で俺もパン買って行っていい?自販機のやつ」
「大丈夫ですけど…もうお腹すいたんですか?」
「動いたらすぐ減らない?」
「…運動して直ぐはちょっと…」
えー、何あの子。この前まで俺とナムジュナに、「ヒョン、僕どうやったらユリと仲良くなれますか?」って泣きついてきたじゃん。(泣いてはいない。)それなのに何があったというんだ。練習の合間に二人して仲良くくっつきながら床に座って、しかもあのジョングギが自然な手つきでユリに触ってるじゃあないですか。
二人の突然のバグった距離感には俺だけでなく、他のメンバーもチラチラ視線を送っていて気になるようだった。リーダーのナムジュナや最年長のジニヒョンは微笑ましそうに見てるし。俺も仲良くなってくれることは大いに嬉しいんだけど、中には絶対この状況が面白くない人もいて。
「ユリ!俺も構って!」
「え?か、構うって…テテオッパ、それは自分どうしたらいいんですか?」
「俺と一緒にお話しするの!」
「今話してるじゃないですか」
「そうじゃなくて、んしょっと……ジョングガ、もうちょっとそっち詰めろよ」
「嫌ですよ、なんで僕が動かないといけないんですか。別に間に座らなくても、ヒョンがあっち座ればいいでしょ」
「ユリ、夜は一緒にゲームしようね。それで音楽聞いて寝るんだよ」
「ちょっと聞いてます?!ヒョン無視しないでください!」
「あージミナ、行ってやってくれ」
「はいはい」
ナムジュナに頼まれてマンネたちの小さい争いを止めに入ってくれるジミナ。うーん、最近この光景もよく見るなぁ。わちゃわちゃする四人のマンネたちを可愛いなあと観察していると、ユンギヒョンがテーブルに置いていたらしい飲み物を取りにきて、丁度近くに来たヒョンに俺は声をかけてみた。
「ヒョンはどう思います?」
「何が?」
「ジョングガとユリが最近良い感じに仲良くなってきたじゃないですか。そしたらテヒョナは嫉妬するし、小競り合いにジミナは出動するし、いい感じに面白い味が出て良いですよね。やっとマンネたちがまとまってきたっていうか」
きっと仕事でも楽しくやってくれそうですよね、なんて話してる間、ヒョンはただじっとユリたちの方を見つめていた。
「……俺らじゃアイツの力になってやれなかったけどな」
「え?何です?」
「別に、ただの独り言」
そう言ってヒョンはさっさと自分が元いた位置に戻っていった。結局、ヒョンが何を言いたかったのか分からないままだったけど、俺はあいつらが楽しそうだし、まぁいっかと思うことにした。