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「結局、どれにするんだ?」
気になっていたヘッドホンを手にしていたら、ジョングクさんの方に行っていた筈のユンギさんがいつの間にか自分の方に来ていた。音もなく近づいてくるから、急に話しかけられて流石に驚いてしまったけど、ユンギさんの方は特に気にしていなかった。
「その…まだ決まってなくて」
実は自分が買うのを迷ってしまっていたのは、その商品をユンギさんも買おうとしているのが分かっていたから。わざわざ買い物の相談に乗ってくれているのに、流石にお揃いの商品まで買おうというのは、なんだか図々しいような気がして。
でもこれ以上時間を削るのも申し訳なくて、どうしようかと悩んでいたところだったのだ。
「ユリ、好きな色は?」
「え?」
「色」
「…白、ですかね」
突然の質問に思考が追い付かなかった。とりあえず頭に浮かんだ色を言えば、ユンギさんは何故か迷いなく商品を二つ手に取った。
どちらもユンギさんが買おうとしていた商品で、一つは黒、もう一つは白だった。
「会計してくるから、先に降りてろ」
「二つも必要なんですか?」
「どうせお前のことだから小難しいこと考えてたんだろ」
「?」
「別に同じの持ってたっていいだろ、…それとも、お前の方が嫌だったか?」
俺とお揃いは。
そう言われて自分の足りない頭がやっと理解する。ユンギさんには悟られてしまっていたようだ。考えていることが透けているのかと思ってしまうほどに、当てはまっていた。
「いえ、そんなんじゃなくて」
「じゃあ問題ないな。色はお前、白でいいな」
「…っ、あのお金」
両方お会計をしてしまうとのことだったので、とりあえず先にお金だけ渡そうと鞄から慌てて財布を取り出そうとしたけど、ユンギさんは素知らぬ顔で足を進めようとしていて。
「こういうのは“兄さん”の顔でも立てとけ」
結局、何も言い返せず、そのまま見送るような形となってしまった。
どうやら自分は、こういう時ちょっとだけ意地悪そうに口角を上げる“兄さん”の笑みに弱いらしい。