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ここ最近、ジョングクさんがおかしい。言い方に語弊が出てきてしまうが、ジョングクさんとはそれなりに仲良くさせて頂いている身だから、彼の些細な変化にも気づけるようになった。けれどそれを追及しようにも、自分は人の心理を読み解くスキルもないし、かと言って直接聞くには勇気がいる。自分の勘違いということも無きにしも非ず、だ。
「というわけで、ジミンさんのお力を頂こうかな、と…」
「えー?俺なんかでいいのかな〜?」
そこでメンバー内でまだ歳が近い方の、頼れるお兄さん――ジミンさんに相談してみることにした。テテオッパよりは大人な考えをお持ちだし、何より自分たちマンネラインを本当によく見守っていてくれるから。
「ていうか、ジョングクそんなに最近変だった?」
「はい。……だって…、いつもなら差し入れのチキンは絶対全部食べ尽くしちゃうのにこの前は残してました。あとは、大好きなラーメンを伸びちゃうまで放置しちゃってたし…、昨日は化粧水と乳液を間違えて使って苛々していました。それから、」
「ユリ」
「?」
「ジョングクのことよーく見てるんだね」
自分がジョングクさんのことを?
でも言われてみれば確かに、そうかもしれない。ジョングクさんは背も高いし、いつもグループの中心にいるし、自然と目についても不思議じゃないのかも。
「てっきり仕事のことかな、って思ってんだけど…がっつり私生活のことばっかじゃん。ほんと可愛いねぇ、お前は」
「えと、………ん?」
優しく頭を撫でてくれるジミンさんに疑問を浮かべてしまう。どうして嬉しそうに笑っているんだろう。何かおかしなことを言っていただろうか。自分の言動を振りかえってみたが、それらしい答えは浮かばない。
「まぁいいよ、別に。俺、それとなく本人に聞いてみる。あいつは嘘がつけないからさ、こういうときはさっさと聞いた方が早いんだ」
「ありがとうございます。……自分の勘違いだったら申し訳ないんですけど…」
「いーって。実は俺もちょっと気になってたことがあったから丁度いいし」
***
「ジョングガァ、最近どう?何か悩み事があるならヒョンに聞いてみな?うん?」
「……急に部屋に来たと思えばなんですか突然」
「別に突然でもいいじゃん。ヒョンがマンネを気にかけて何がおかしいのさ」
部屋でストレッチをしていたらジミニヒョンがズカズカとやってきて、悩みはあるかと聞いてきた。何を突然、と思ったけど、どうせヒョンのことだから他に言いたいことでもあるんじゃないの。
「ないですよ、今のところは。強いていうならストレッチを続けたいのに邪魔されてどうしようかって感じです」
「最近生意気ー、マンネは愛嬌あってこそでしょ」
「はいはい」
適当にあしらいつつ足を伸ばす動きを続けた。ヒョンは俺のベッドに座ったまま動こうとしないけど。
「はぁ…強がりなお前はどうせ自分から言わないだろうから、俺の方から言うね」
「?」
「ジョングク、お前さ…
――ユリのことで思うこと、何かあるんじゃない?」
ジミニヒョンから出てきたのはユリの名前。それを聞いた途端、ストレッチをしていた身体がピタッと止まってしまった。こういうとき俺は心と身体がリンクしなくなる。ヒョンたち曰く“嘘がつけない“ということらしい。
「多分そうだろうなぁって思ってたよ。なんかここ最近グッと仲良くなってたし、心配はしてなかったんだけど、仲良くなる分…ちょっと気にかかることも出てきたんじゃないの?最近のお前見てるとそんな感じするよ?」
まるで全部分かってるみたいに言うヒョン。でも、分かっていても、その先は俺から話すように促してくれているみたいで、それからは俺が口を開くのをじっと待っててくれている。
ヒョンの言う通り―――俺はここ数日、あの子のことばかり考えてしまっていた。