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その日は時たま行われるメンバーだけの打ち上げがあった。大きな仕事がひと段落したとき、お店を貸し切って皆だけで飲んだり食べたり、気兼ねなく楽しめるひと時。
お酒が入るとそれぞれ性格が出てくることもあって、ナムジュニヒョンは今後の活動について熱く語っていたり、ジニヒョンは食べている料理について語っていたりする。お酒の弱いホソギヒョンはもう既に顔が赤いし、反対にお酒の強いジミニヒョンはどんどん頼んでいる
俺もお酒は弱くないから自分のペースで飲んでいて、酔っ払い出しているヒョンたちの笑い話に相槌を打ちつつ、時々左隣の席に座る子を横目に見ていた。
今までもこういう時間はあったのに、馬鹿みたいに意識してしまうのはどうしようもない。
ユリは人並み程度にお酒は飲めるらしく、ペースは大分遅いけど酌まれた分は律儀にちゃんと飲もうする。一方で食事の方は、口が小さいうえに、胃袋の大きい俺と違って大皿から取る量も控えめだ。でもそんな彼女の小皿にどんどんご飯をのせていくのが、ユリの左隣に座るテヒョニヒョン。
「これ美味しいからあげる」
「…ありがとうございます」
「はい、口開けて」
しかも口元まで運んであげている。別にそういうのは俺らにしてみれば当たり前の光景なんだけど、欧米育ちのユリは食文化の違いとかで未だに抵抗があるらしく、まず自分からはやらないし、それを理解しているヒョンたちもユリにはあまりやろうとしない。けど、テヒョニヒョンはそういうの関係ないらしく、会食の場だと特にユリの隣を陣取って世話を焼こうとするのだ。
前に俺とジミニヒョンがユリの間に座ろうとしたとき、テヒョニヒョンが俺を無理やり動かしてまでユリの隣に座ろうとしたときは流石に驚いた。全員で打ち合わせの時とか、楽屋で差し入れを食べるときとかはそこまでしてこないのに、打ち上げのときだけは何故か強情になる。
そして結局、その日はユリの隣を座っていても、テヒョニヒョンが独占するせいで殆ど離せなかった。お酒が回ってたら俺も頑張れる気がしたのに。
JM「あ、迎えの車一台遅れるそうです」
NM「ほんと?そしたら先に帰る人だけ決めておきますか」
JN「明日朝早い人でいいんじゃない?」
JH「俺、先に戻ってもいいですか?ちょっと結構回ってきちゃったんで」
NM「じゃあホソクと、」
JK「すいません、俺明日早いです」
「あの、自分も」
TH「じゃあ僕も!」
JM「テヒョナは明日午後からじゃん。どうせなら残ってきなって」
TH「ええー、でもユリが帰るなら一緒がいい」
最後まで渋っていたテヒョニヒョンだけど、この際語らせろというヒョンたちに押されて、最初の迎えで帰るメンバーはホソギヒョンと俺、それからユリの三人になった。ホソギヒョンは大分酔いがきてるのか、今にも眠そうに目をこすっていた姿に、これはもしかしてと思った俺は、急に心臓の鼓動が早まっていくのが分かった。