「そういえば聞きました?桐山さん。」
 「何を?」
 「例のチョンさん。何でも、間宮さんが入院している病院にお見舞いに行きたいと、上の方に何度も要望しているそうです。」
 「へぇ…」
 「でも結局、彼の事務所がそれを止めているとか。今は彼らもライツアー中ですし、できれば事件に関わりたくないんでしょうね。彼が原因と言っても過言ではないのに、メディアでも事務所はそれについて触れようともしていませんから。」
 「……それでも彼は、彼女に会いたいと」
 「まぁ、自分が原因だとしたら罪悪感も募るでしょう」
 「よっぽど好いているんだねぇ…」
 「ところで桐山さん。報告書をまとめる気はー…」
 「そもそも二人はどういう関係性なんだろうか」
 「あ、聞いてない…」
 「アイドルと一般人、普通だったらそう出会わないよね。それに国籍も違う」
 「でも間宮さんは海外渡航歴も豊富ですし、何より普通の一般人とは言い難いじゃないんでしょうか。経歴を見てみても彼女は凄いじゃないですか」
 「幼少時から行っているんだっけ?それなら英語は話せるだろうね」
 「英語どころか、何か国語も話せるそうですよ。だから殆ど一人で海外を渡っているうえに、通訳のお手伝いをしたこともあるとか」
 「ふーん……」
 「それで報告書を、」
 「笹田くん。君に任務を与えよう」
 「はい?」
 「チョン・ジョングクさんがアイドルになる前、海外を渡った経歴がないか調べてくれたまえ」
 「え、なんでアイドル前限定なんです?」
 「恐らくだけど、チョン・ジョングクさんは、海外で何らかの形で間宮さんと出会っている可能性が高い。そして有名人の立場なら何処に行ったとか誰に会ったとか、調べれば簡単に出てくるものだよ。
 でも今のところ、間宮さんとチョン・ジョングクの出会いについてのタレコミは一切ない。つまりアイドルになる前、まだ一般人だった場合に出会っていると考えられるわけだ。まぁ…間宮さんは海外で功績を残しているから、メディアの方は、チョン・ジョングクさんがネットか何かで彼女を見つけたんじゃないかと言っているけど、それはないだろうね。
 直接出会わない限り、あそこまで執着心を見せることはないよ」

 ***

 「分かりましたよ!!二人の関係性が!!」
 「おおー早いじゃないか」
 「頑張りました!!」
 「はい、じゃあ早速見せて」

 任務を与えられてから数日後、ようやくコレといった情報が見つかり早速報告。正直、これを手に入れるのに徹夜もしたし、かなり骨が折れる仕事だった。
 他の刑事達はこの方面については触れていなかったし、最初はどうしてこんなことを調べているのか謎ではあったけれど、あの桐山さんが言うぐらいだから何かしらの手がかりになるのだろと思った。これまでしてきた捜査で、僕は、桐山さんの考えが事件の真相に繋がっていくような気がしてきたから。

 「チョンさんは防弾少年団としてデビューする前、アメリカに1か月ほどダンス留学へ行っていたようです」
 「ほう…」
 「そのアメリカ留学では、主に事務所が手配した通訳の方を介していたんですが、実は一時だけ担当の通訳さんが別の仕事の関係もあって、1週間だけ間宮さんがチョンさんの通訳を担当していたということでした」
 「そこで彼女と出会ったわけか」
 「はい。でも、二人が直接会っているのもその時だけで、仕事上の付き合いにもなりますし、そこで二人が交際を始めたということはなさそうです。」
 「つまり……彼の方はその時から彼女を想い続けているわけだ。留学は何年前?」
 「えっと、デビューが4年前ですから、」
 「4年間も。へぇ…」
 「二人が連絡を取り合った履歴も今のところないですし、本当にチョンさんはずっと彼女を想い続けていたんですね…」
 「4年間ひたすら想い続けていた彼が、今年になって急にそれを打ち明けた。
 
―――……何故、彼は突然そんなことを?」

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