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今日は待ちにまった修学旅行初日。一回目の人生でも京都は三回行ったことがある、そのため私の体感的に今回で四回目となるわけで。日本を代表する古都にいけるとあってはテンションが上がるのは至極当然のこと。
私たち5班もバス内で指定されてある座席につく。一応、教室と同じように男女隣同士であり、私は班長の直人くんとだ。まぁ彼が私の隣の席になったのは単なる偶然ではなく、おそらく勇司くん関係なんじゃないかとは予想がついた。勇司くんと仲の良い友達は直人くんだし。
でも、今回の修学旅行ではそういった問題は置いていきたかったんだけどなぁ。ほんと学生ってイベントごとに弱いな。吊られすぎだろ。
バスが出発して数分もしないうちに、朝早くからの出発だったこともあり流石に睡魔が襲ってきて、班長に肩をつかれて目覚めたときには奈良県に入るところだった。どうやら他の皆もほとんど眠っていたのか、眠そうに目をこすっていた。中には口を開けて寝ている男子もいて、そういう姿が見られるのが修学旅行の面白いところだよなぁと思った。勿論、私は事前にマスクをしておいたのでばっちりだ。
修学旅行の日程としては、初日はクラスで決められた場所を回り、二日目は班行動、三日目はまたクラス別だ。勿論見るだけじゃなく勉強も兼ねているのでメモは欠かせないので、まったり観光というわけにはいかないけど。
法隆寺、奈良公園、東大寺の順に観に行くのが今日の日程。クラス行動ではあるが、ガイドさんの説明を聞いて見たあとは自由時間もあったりするので、どう過ごそうかは各々違ってくる。私はとりあえず鹿と戯れれば良い。
そしてお目当ての奈良公園に着き、東大寺の大仏様まで見たところで自由行動となった。
私は瑠実ちゃん、優香ちゃんたちと一緒に鹿せんべいを買いに行った。公園に広がる鹿たちは手に持つせんべいを見せただけで、一斉に群がってきた。
「ちょ…ちょっと待って、え、えええ」
我よ我よと向かってくる鹿。確かに可愛いのだが、さすがに一人に集中されるとやばい。
可愛いけど、怖い、可愛いけど。とりあえずこの状況から抜け出すために、せんべいを袋に入れて離れた。
落ち着いたところに来ると瑠実ちゃんたちとはちょっと離れてしまったが、彼女たちも鹿にしか目がいっていないようだ。お、鹿ちゃん発見。
傍に座っていたのは一匹の雌鹿。私が袋から鹿せんべいを取り出すと早速反応して顔をこっちに向けてきた。食べさせてあげるために近づいてしゃがみ込んだ。差し出したせんべいをモグモグと夢中に食べるその姿はなんてプリティーなの。
と、癒しに浸っていたら私の横から別の鹿せんべいが現れた。
「わ、びっくりしたー…」
「おっす」
突然現れたのは裕樹くんだった。私の隣にしゃがみこんで同じように鹿にせんべいを与え始める。なんだ急に、鹿なら別のところにもいっぱいいるじゃないか。この子は私が見つけたんだぞ。
「急に来たから何かと思ったよ」
「ごめんごめん、驚かすつもりはなかったんだけどね」
5組も同じく自由行動になっているのでまぁ彼が何処にいようと別に問題じゃないのだが、彼が私のところに来たことが私としては問題だった。日本語って難しい。
最近、仲良くさせてもらっているクラスメイトの七海ちゃんによって、否が応でも意識せざるえなくなってきているのだから。それにしても二人で会うのはこの間、一緒に帰った時以来か。
「静ちゃん、鹿好きなの?」
「うん、動物は大体みんな好き」
「へー確かに、っぽいわー」
「っぽい?」
「動物好きそうな顔してるから」
シュバッと手を顔に当てた。いや、どんな顔ってことだよ。鹿みたいな顔ってことか?馬鹿な、千年に一人といわれる美少女の私が?いやいや、ありえない。
「裕樹くんも鹿好き?」
「嫌いじゃないよ。でも、まさかここで鹿せんべい買うとは思わなかったけど」
「あぁ、確かに分かる。最初はそんなつもりなくても、この鹿たちを前にしたら買うしかないもんね。うん、キミが買ったことは間違いじゃないよ、保証する」
鹿の頭をなでなでしながら頷いた。だってこんなに可愛い子たちですもの。買いたくなっても不思議じゃないよ。
「いやーまぁ、それもあるけどさぁ……」
苦笑いした裕樹くんが最後の一枚を鹿にあげた。私の手にはもう一枚も残っていないので、これで最後になる。たんとお食べー。また必ず他の人から貰えると思うけど。
そして丁度良いタイミングでガイドさんたちの声が聞こえてきた。そろそろ集合時間が近いらしいので、バスへ戻った方が良さそうだ。私は優香ちゃんたちと一緒に戻るため、裕樹くんに挨拶して彼女たちの元へ向かった。