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私のプランとしては考紀君を勇司君と私の間において、私の壁になってもらおうと考えていたのだ。しかし、同じサッカー部の大智くんが彼を自分の横にくるよう呼んでしまい、私のプランは一瞬で粉々にされた。大智くんに悪気がないことも分かっている、が、流石に一瞬投げ飛ばそうかと思ったのは秘密。
かたや右隣の勇司君は先日私に告白してきた男の子で、交際しているわけではないが、いつかそうなりたいから自分を好きになってもらえるよう頑張りますと言われて。
左隣の考紀君とは別に今まで通りただの幼馴染という風に接していたのに、周りから勝手に某人気推理漫画の主人公とヒロインみたいだ、とからかわれ、優香ちゃんからは考紀君が私を異性として好いているとか言われて。
何なの。皆からしたらこれって私に気があるやつらが、私を挟んでいる的な状況に見えるの?だとしたら今すぐ貴様ら全員目潰しの刑だぞ。
私からすれば勇司くんは前世の経験上、交際する気はないし、正直あまり関わりたくない相手で。そして考紀君に至ってはただ他の人より付き合いが長いだけで、異性として意識したことはないのだ。
だからやめろぉおおお、ちょっと楽しそうにこっちを見てるやつ、その髪の毛掴んでぶち抜くぞコラ。
その後、UNOを3回やったら見事に玄吉君が3回ともビリだったので、彼が自分でも勝てるゲームをしたいとババ抜きを申し出た。人数がなにぶん多いため最初から一人分のトランプの枚数も少ないから直ぐに終わるかもしれない、と思っていたが意外と決着はつかない。
ていうかババ持ってるの誰。全く分からないんだけど。まぁでも私は残りは一枚だけなので、今ババを貰わない限り大丈夫だろう。
なーんてすぐフラグ立てちゃぁいけなかったんだなぁ。
「…ぅわ…っ!」
考紀くんが声を出して唸った、と思えば焦って一瞬で真顔に戻る。え、ちょっと待って何その反応。おいおいやめてくれよ、まさかそんなはずないよねー。
「考紀、分かりやすすぎんだろー」
「トランプへたくそか」
「いや、何が?全然大丈夫だから」
お前それ引いたなぁああ!?ここにきてババ引きやがったな!?
考紀君の手持ちのカードは2枚、どう考えたって二分の一の確率で当たる。ババに。
私と彼との一騎打ちのゴングが響いた気がした。
真面目な顔で向き合い、私は右端のカードに手をかける。そして次に左端にも同じく手をかけたが、考紀くんの表情に大きな変化は見られない。
もう一度右端のカードに手をかけてそれを掴んだ。すると本当に一瞬だけ彼の瞳が揺らいだ。これか!あれ、でもどっち…?
ババなのか、それとも違うカードなのか。変化は分かってもこれが何なのか分からなかったら軽率な行動はできない。しかし意を決してカードを少し上に引っ張ってみた。
そうしたら考紀君がなんか笑いこらえ始めたもんだから、私までつられて笑ってしまった。
「ねぇ、なんで笑うの…っ」
「何でもないって!いいから引いてみなよっ」
「いやだって急に笑いだすから、え、なに…なんなの…!?」
私たちが謎の笑いを繰り広げていると、皆から早くしろよーと催促された。仕方ない。
「…私のこの手で、正解を引き抜いてみせる…ッ」
「どうかな!?俺からそう簡単に引き出せると思うなよ!」
「く…ッ、おのれ…!」
私が選んだのは先ほどと同じく右端のカード……ではなく、左端のカード。
これだぁああと勢いよく引き抜いたそれは、
「……っ!?」
「いやー助かったわー」
見事にババでした。まさかのハズレにそのまま身体を倒してしまった。
ちょっとイケんじゃないかとか考えた愚かな自分に笑いさえこみ上げてきた。
皆にもどっと笑いが広まったし、考紀くんも愉快とばかりにピースサインだ。
くそう、なんでこうなる。どこで間違えたんだと悔しさを噛みしめながら、左側の勇司くんへトランプたちを差し出す。
そのとき、彼だけはあまり笑ってなかった。