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王様ゲームとは、ランダムに決まった「王様」が出した命令を、ランダムに決まった参加者が行うレクリエーションである。
最後にまさかの王道中の王道ゲームをやるはめになるとは思わなかったが、これも玄吉の提案である。わざわざ割り箸を持参してきたらしい。あいつ何しに修学旅行来たんだ。
「王様だーれだ」
「おれー!」
「命令はー?」
「2番がモノマネ披露!」
大人数でやると中々に盛り上がって面白かった。皆の意外な一面を見ることができたし。
けどまさか思ってもみないでしょう。王様になったやつがあんなベタな命令出してくるなんて。
「うぇーい王様ー!」
「亮介、早く命令言えよー」
「え、俺マジで一回やってみたかったんだよ!凄いの聞くけど、いいの?」
「逆に気になるわその言い方」
「5番の人がー…好きな人の暴露!!」
えぇえええ、と声が上がった。しかし皆楽しそうだ。そりゃそうだろう。だって、皆5番じゃないんだから。
「だれ5番!?」
「…はい」
なんてったって、私が5番なのだからね。
「マジで!?」「静ちゃん!?」「これはヤバいぞ!!」
いやだぁあああ、どうしてこんな公開処刑されにゃあならんのだ!もう家に帰りたいよぉおおお。
「いる?!好きなやつ!?」
「いない」
「んだよつまんねーな!」
ぶっ飛ばすぞコラ。だっていないものは仕方ないじゃないか。私は悪くない。
「気になってるやつとかでもアリ!」
「気になる…?……いや、えぇー……」
「この中にいるんじゃないのかー、どうなんだー」
「そうだそうだー」
「……はい…!?」
さっきから扱いひどくない!?なんでみんなそうやって勝手に決めつけるの!?
「ほら、今傍にいるんじゃないのかー?」
班長の直人くんが小声で言ってくる。やめろ、そういうあからさますぎる行為。
ってちょっと待て、皆の言い方的にこれ、強制的にくっつけようとしてないか。
直人くんは勇司くんの友人で、彼がいう私の傍にいる人間って…あかんやつやん。
修学旅行の夜という雰囲気にあてられたやつらが暴走し始めている。
すると今度は、考紀くんの友達が。
「クドウ、いけクドウ!」
「その呼び方やめろって!」
クドウ、それが最近一部の間で呼ばれている考紀くんのあだ名。由来は武道家の私と、サッカーをしている考紀くんが幼馴染だから某人気推理漫画と設定が同じだということで、その主人公の名前から取られたものだ。ちなみに私はモウリだそうだ。勿論私も彼も嫌がっている。
漫画のように私たちもカップルみたいに扱われていることが分かるが、そうじゃないんだよ、考紀君は本当にただの幼馴染で…
「さっきも夫婦漫才みたいだったぞー」
「ゲロっちまったほうが早いって」
赤ちゃんのときから会っているから身内みたいなもので、幼児期なんてちょこちょこと私の後ろをついて回って、小学校のときに唯一口裏を合わせられる相手で、面倒な問題を一緒に解いてくれて、変な噂がたったときも皆の誤解解いてくれて、
本当は―――さっき飲み物を買うときにも一瞬私たちに気づいて通りすぎちゃったのを、わざわざ戻ってこっちにきてくれたのも、全部分かってた。
「だから本当に、私は―――――」
顔が左側に向きやや上を見上げると、真っ黒な瞳が海のように揺らいでいる気がした。
嗚呼、なんでこんなことになるんだろう。
一回目の人生のときに散々痛い思いをしたのに、たくさん学習したのに、女子の恋愛は上書き保存というが今はそれが地味に刺さる。
「ごめん、あのさ、自分から命令しといてなんだけど、俺言っていい?」
「は?」「亮ちゃん?」
皆の視線が一斉に亮介くんに集中した。すごい今、皆が空気読めよテメェみたいな顔をしていたぞ。
「何急に、どうした亮介」
「いや見てたら俺もちょっと心動かされたっていうか、やっぱ言うわ」
「お?お?まさか!?」
スッと亮介がその場で立ち上がり、コホンとひとつ咳払いをして重々しそうに口を開いた。
「俺、………瑠実さんのことが好きです」
お、おお?え?待ってどうした急に。突然の告白に一気に静まり返ってしまった部屋。
告白された瑠実ちゃんは顔を下に向けたまま動かない。
「こんなとこで言うもんじゃないかもしれないけど、付き合ってくれたら…嬉しいです…ッ」
すげぇコイツ、よくこんな大勢の前で言えるな。大したものだ。
思わず関心してしまっていたら、今度は瑠実ちゃんがか細い声でお願いしますと頷いた。
凄い本当にこういうのあるんだ。テレビや漫画の話だと思ってたのに。
男子女子ともに歓声が沸き上がる。七海ちゃんが瑠実ちゃんの元へ駆け寄っていくのが見えた。あ、私もこの流れで瑠実ちゃんの元へ行けばここから離れられるな。よし。
その後はもう消灯時間が近くなっていることから委員長によって強制解散が行われ、私たち女子も自分たちの部屋へと戻った。