猛特訓
それから一か月の間、僕たちの猛特訓が始まった。
選曲は無事に決まり、韓国のアイドルグループの曲を二曲することになったらしい。
「でもホントにいいのかな?これって普通は4人でやるのに…」
『いいのいいの。普通の概念に捉われなくたって。それに、その方が一人一人目立つ部分をたくさんつくれるしね』
「も、もしかして…ソロやるの?」
『え?もちろん』
「む、無理だよ…!僕、一人で踊ったことなんてないのにッ」
「…俺もソロなんて考えたことないわ」
『でもダンスだけのステージならソロは必須だよ。皆がずっと同じ動きをしてても面白味がない。観客は驚きを求めているからね』
「お、おお、なんかプロデューサーみたいやな」
「自信ない…」
『楓太さん。私、これでも本物のアイドルに教えてたことあるから、任せなさいな』
「え、そうなの!?」
『…食いつきが違う』
「楓太はアイドルオタクなんよ。ずっとこのアイドルたち応援してるし」
『あ、やっぱり。選曲もそうだったから、もしかしてとは思ってたけど…』
「誰?誰に教えてたの!?」
『んー…ソロやってくれるなら、考えてもいいよ』
「やる!!」
「変わり身がすぎるぞ」
それから毎日、間宮さんの組んできたスケジュールに沿って、放課後だけじゃなくて朝と昼休みも使い、休日は丸一日使い、ひたすら練習していた。
間宮さんはその手腕通り、僕たちの苦手な分野も把握して順番に教えてくれるから、無理だと思っていた二曲をいつの間にか踊れていっていることが嬉しくて、もっとダンスが面白くなっていって、自分でも信じられないぐらい上達していくのが分かる。
そして残り一週間というところで、初めて通し練習をした日ことだった。今日の練習を終えて、帰り道でアイスを買って食べていたとき、僕はある話を持ち出した。
「…百合ちゃんは聞かないんだね」
『はひをへふは?』
「食ってから喋ろって」
『……ゴクン、何をですか?』
「あの時さ、教室でアイツらが言ってたでしょ?……“ホモのくせして”って」
「おい、楓太…」
「アレ…半分嘘で…半分本当なんだ」