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目の前にいる女子が、さっき山口が騒いでいた子。それくらいの感情しかなくて半ばどうでもいいように彼女を見下ろしていた。すると急に僕の名前を言うもんだから驚いた。入部届にふりがなを書いた記憶はない。
「そうだケド」
その女子は安心したように小さく息を吐いていた。
その後続けて彼女は金曜日に体育館に来て欲しいという内容を僕と山口に伝えた。
「それじゃあ私はこれで――――」
「ねえ、君の名前は?」
僕らの名前は知ってるのに、不公平デショ?そう言うとぱちり、不思議そうに瞬きをする。
「ツッキーの通常運転これだから気にしないで!」
「……山口」
「ごめんツッキー!」
そう話していると山口を見ながら彼女は小さく笑っていた。
「私は3組の高嶺巴です。」
「…ふぅん、ヨロシクね。巴チャン?」
「えっ!?……じゃあ俺も巴ちゃんって呼んでいいかな?!」
「珍しいねツッキーが女の子を名前で呼ぶなんて?」
「別に、なんとなく」
***
仲間に信頼されない恐怖を知った王様
仲間に出会えない寂しさを知った雛鳥
彼等の出会いは偶然で必然。そしてまた、そんな二人が数ある高校の中から、烏野を選んだという事も、偶然であり必然なのだ。
土曜日の試合により問題児二人がなんとかバレー部への入部を許可された時、慌ただしい足音をたてて顧問である武田一鉄が駆け込んできた。
内容は青葉城西との練習試合が組めた事と条件として影山飛雄をフルで出すこと。恐らく、これは青葉城西ではなく個人的に誰かが進言した事なのだろう。
そして、正直に言えば烏野に勝機はない。どんなにすごいセッターがいたところでレシーブが上がらなければ話にならない。どんなにすごい攻撃ができるところで、そこまで繋げなければ勝負にならない。
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