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青葉城西の体育館は大きかった。
県内では強豪として有名な男子バレー部、体育館も広いところを使わせてもらえて当然だろう。
日向は大きい体育館には慣れていないので、その広さと部員の多さに興奮どころか怯んでいるようだった。
全員で挨拶をすると、烏野の存在に気付いた青葉城西の部員たちも挨拶を返す。
「え?…ちょ、何かマネージャー増えてるけど!?」
「し、しかもすげぇ可愛いっ」
「眼鏡美女だけでなく、清楚系美少女まで!」
「くそぉ…烏野羨ましい…っ」
青城の生徒達から熱い視線を送られている高嶺。
「おお!高嶺さん、すげぇ注目されてる!やっぱすげぇよ!」
「日向全然分かってねぇ…」
ピーッというホイッスル音が響き、青葉城西と烏野高校の練習試合が開始された。
サーブは青城からだ。青城の選手からうちこまれたサーブは烏野高校のコートへと入る。
「大地さん!」
「澤村さん!」
烏野高校のコート内から声があがる。
青城から放たれたそのボールは誰がどう見ても、澤村と呼ばれた1番のビブスを着た選手がとるべきボールだった。
その声に答え、澤村も「任せろ」と声を出そうとした瞬間、自分のものではない腕が現れ、ボールはコート外へと飛んで行く。
なんとかカバーして繋いだボールをスパイクまでもっていったが相手はベスト4である。
ドシャッとブロックを決められた。
「さっきよりも悪化してる…」
その後も当然の事ながら、日向のすさまじいプレー(決して好プレーではない)に目を瞑りたくなるくらいだった。
そしてあっという間に相手のセットポイントとなってしまう。
青城のセットポイント。その場面での烏野高校のサーバーはすさまじいプレーをしている日向だ。
ぶれるサーブトス、手にしっかりと当たらず、そのボールはネットを越える事はなく、
同じコート内に立つ、黒髪の少年の後頭部を直撃した。
それと同時に鳴り響くホイッスル。
烏野高校のコート内は異様な空気に包まれていた。
後頭部にボールを当てられた影山が日向の元へと向かっていく。
「あ、おい!影山!」
先輩の制止の声も聞かず、無言で1歩ずつ日向に近付く飛雄。
「ま、ま、まままま待てッ!話せば分かるっ!!」
「お前さ 一体何にビビってそんなに緊張してんの?
相手がデカイこと…?
初めての練習試合だから…?
俺の後頭部にサーブをブチ込む以上に恐いことって――…なに?」
「―…とくに思い当たりません」
「じゃあもう緊張する理由は無いよなあ!
もうやっちまったもんなあ!一番恐いこと!
……それじゃあ…とっとと通常運転に戻れバカヤローッ!!」
とうとう怒鳴った影山に、日向は不思議そうな顔をしている。
なにはともあれ日向の復活は目前だろう、と皆が安心していると、次は田中が日向に声をかけた。
怒られると思った日向は正座し、田中の質問に答えていた。
それに対して怒濤の勢いで怒鳴っている田中を見て、武田は日向を心配するが、菅原は大丈夫だろうと答える。
誰も止めないので、もちろん田中の話は続く。
「良いかァ!バレーボールっつうのはなあ!
ネットの“こっち側”に居る全員!もれなく“味方”なんだよ!
下手糞上等!迷惑かけろ!足を引っ張れ!それを補ってやるための!!
“チーム”であり“センパイ”だ!!」
このあたりで澤村、菅原は、田中が先輩と呼ばれたいだけだ、と気付く。
だが田中のような裏表が無さそうな人間が言うから、今の言葉は効果があるのだ。
田中が居てよかった、と2人は安心する。
そして、第2セットが始まった。
一回目の速攻は失敗した。
影山のトスが原因での失敗だったので、影山が素直に謝ったことに、
彼のかつてのチームメイトの金田一と同じく国見は驚いていた。
二回目の速攻は見事に決まった。
二人だけでなく、チームメイトやベンチの皆までガッツポーズをする。
影山と日向の本領発揮だ。
そして、日向さえ機能すれば、彼の役割が存分に果たせる。
敵は日向を警戒し始めたようだ。
それを確認して、影山はチームメイトに声をかける。
「日向が動き出したちころで――反撃行きましょう」
烏野は、ここからが本番だ。
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