音駒のセッターである孤爪研磨のサーブで始まった試合。彼のうったボールは威力は無いがコーナギリギリへのいいコースへと入っていった。そのボールを東峰が拾うも少し短い。西谷に怒鳴られている東峰を余所に影山はすぐに対応し、ギラリと瞳を輝かせる。
影山と日向による変人速攻が音駒コートへと襲い掛かった。

「すげえっ 速えっ 何!?」
「あんなトコから速攻…!?」
「なんだあありゃあ!?」

いつもの如く、あがる感嘆や驚愕の悲鳴。

「田中ナイッサー」

変人速攻が決まった烏野から始まるサーブ。田中にしては珍しくいいコースへと決まっていった。けれど、そのボールは完璧にセッターへと返される。
東峰の放つスパイクにも驚嘆の声を漏らすも、誰もが浮き足だつ事はない。むしろ、今は見られていると言った方がしっくりくるようだ。
序盤、試合は烏野の有利な展開で進んでいくも素直に喜べる状態ではない。まだ、音駒は本領発揮をしていない。現に猫又にしろ選手たちにしろ控えである芝山でさえ、誰一人として焦ってはいないのだから。
日向の変人速攻が決まったところで、音駒高校がタイムアウトをとった。

「…ありゃあ…ダメだ…」
「え?」
「あれはとんでもねぇバケモンだ…」

選手たちにドリンクとタオルを配りながら、猫又の言葉を聞く高嶺。

「天才が一人混じったところでそれだけじゃ勝てやしないのさ」

バレーボールは繋いだ方が勝つ競技だ。どんなにスゴイ選手が一人いようとも、それができなければ意味がない。
そして、11−9という点差。確かに何度か変人速攻は見せたがこうも早く対策が立てられものだろうか。早くても2セット目くらいだなんてとんでもない。
猫又の視線を受けた、孤爪研磨が言葉を紡いだ。

「最初クリアできそうにないゲームでも繰り返すうちに慣れるんだよ」

デディケートシフトへの移行、日向への対策、そのどれもが的確なものだった。

「巴」
「はい」
「俺、カッコいい?」
「…かっこ悪くはないと思いますけど」

ずいっと巴の目の前にやってきて、そう聞いてきた福永。素直な感想を述べれば、わかりづらいけれど、どことなく嬉しそうな雰囲気を醸し出していた(ように見える)。

「俺、頑張る」
「はい、頑張ってください」
「あ、あの!お、俺にも女子マネみたいな応援を!!」
「(女子マネみたい?)山本さん、ファイトです」
「うおおおおお!燃えるぜぇ!」

その光景に笑う猫又と次々と高嶺へと向かってくる部員たち。応援の言葉をかけ続けると俄然やる気を見せた音駒。変人速攻への対策をたてただけでなく、士気までもあげてしまった事に申し訳なくなり、チラリと烏野へ視線を送れば、そちらも何やら燃え上がっていた。

「お前ら、高嶺は誰のマネージャーだ?」
「「「「俺のです!!」」」」
「"俺達"のマネージャーだな。気合い入れてけよ」
「「「「おおおおおお!!」」」」

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