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「…できた」

烏野高校排球部ユニフォームをかたどったマスコット。
裁縫を手にしたのは久しぶりだったが、身体は覚えていてくれたようで、突然の思い付きに間に合うか心配もあったが、無事に縫い終わらせることができた。

(どうか、皆さんの願いが叶いますように)」

応援している気持ちが、少しでも届きますように。丁寧にひとつずつ最後の点検をして、忘れないようにカバンにしまった。

***

それぞれの思いを胸にインターハイ予選まで、あっという間に時間は過ぎていった。学校で行われる壮行会も終え、部員たちの熱い思いは高まる一方だった。
新しい攻撃パターンの練習を含み、正に猛練習を続けてきた烏野高校の部員たち。

そして迎えた、インターハイ予選の前日。

各々の決意を胸に、いつになくピリッとした気合いの入った練習が終わった。

「あっちょっと待って!もうひとつ良いかな!?清水さんたちから!」

烏養からの講評の後、澤村が締めようと出した声を遮ったのは顧問の武田だった。そして彼から出た意外な人物の名前に全員が清水たちへと注目する。

「………激励とか…そういうの…得意じゃないので…」

そう言って清水は武田と共に体育館内にある観覧スペースへと登っていった。なんだなんだと騒ぐ部員たちの目に入ったのは"飛べ"と書かれた黒い、横断幕。

「こんなのあったんだ…!」
「掃除してたら見つけたからきれいにした」
「うおおお!!燃えて来たアア!!」
「さすが潔子さん良い仕事するっス!」
「「よっしゃああ!!気合い入れてー」
「まだだっ。多分――まだ終わってない」

突然発せられた澤村からの言葉に不思議そうな表情を浮かべたまま黙り込む西谷と田中。澤村の視線に釣られるようにもう一度清水へと視線を戻す。

「…が」

"が"?

「がんばれ」

消えいってしまいそうな声で告げられた激励の言葉。恥ずかしそうにバタバタと姿を消した清水を見送りながら、澤村たち上級生は目から涙を噴出した。
その様子にぎょっとする1年生たちを余所に男たちの泣き声が体育館に響き渡る。

「1回戦絶対勝つぞ!!」
「「「うおおおス!!」」」

清水の激励に気合十分となった烏野高校男子バレー部。そんな彼等を前にして、巴は手の中のものをギュっと握りしめた。

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