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「おい、日向。なんだよソレ」

部室で着替えている時に田中が見つけたのは日向の鞄についているお守り。それは自分たちのユニフォームの形に作られていて、ご丁寧に日向の背番号まで付けられていた。

「お守りです!後ろには勝利って書いてあるんですよ!」

嬉しそうに話す日向の表情とは裏腹に田中の顔は酷いものだった。

「なんですか、コラ。自慢ですか日向くんよォー!!」
「ち、ちちち違いますよ!!か、影山も持ってます!月島も山口も!」

田中のガンに怯えながら、そう言った日向に田中以外の部員たちも反応を示す。

「お前達が用意した訳じゃないよな?」
「まさか。こんな事できるような人間がいると思ってるんですか?」

月島の問いかけに即座に全員が揃えて首を振った。そして、何かを思いついたのか月島が意地の悪い笑みを浮かべた。

「先輩たちは誰も貰ってないんですかァ?」

それぞれがアイコンタクトで反応を見るが、どうやら1年生以外で貰った人間はいないようだ。

「俺たち、高嶺さんからインターハイ頑張ってねって言われて貰ったんですけど、おかしいですね。もしかして、嫌われてるんですか?先輩達」

高嶺という単語に全員の顔色が変わる。

「コイツ等にあって、俺たちに無いなんて事は有り得ないよな、スガ」
「高嶺がそんなことするはずない」
「…どこから来るんですか、その自信」

呆れたように言った月島の言葉に返事をする者は誰一人としていなかった。何故なら全員がほんの少しだけ「嫌われている?」という心配をしてしまっているからだ。

「大地さん!捕獲対象発見致しました!」
「ああ。田中、西谷、連れて来い」
「「ラジャー」」

腕を組んだまま指示を飛ばす澤村に敬礼をし、ドタバタと部室を出ていく二人。暫くして、ドタバタという騒がしい足音と共に巴を捕まえた二人が帰還する。


「ご苦労。下がっていいぞ、二人とも」
「「はっ」」
「何コレ」

月島の突っ込みは再びスルーされ、訳がわからず茫然としている巴へと全員の視線が注がれる。

「高嶺」
「はい」
「俺たちに、渡すものあるか?」

様子のおかしい部員たちに少し怯えながら、澤村の質問に対し不思議そうに首を傾げた巴。暫くの沈黙が続き、目の端に入った日向の鞄を見て、巴は思い出したように口を開いた。

「もしかして、これのことですか?」

そう言って彼女が鞄から取り出したそれに部員たちの目がキラキラと輝いた。

「何で俺たちには渡してくれなかったんだよー」
「タイミングが見つからなくて」

菅原の言葉にそう返す巴。

「じゃあ、なんでコイツ等は持ってんだよ」
「今日偶然、学校で会ったのでその時に」

ギロリと西谷と田中に睨まれた1年生たちはビクリと肩を震わせる。

「すごいな。大変だっただろ?」
「いえ、裁縫嫌いじゃないので。それに皆さんの力になれるなら、苦じゃないです」

優しそうな微笑みをみせる巴に全員が心を打たれたのは言うまでもない。
珍しいマネージャー二人からの激励に、みんなの気合いは溢れんばかりだった。

「お前等!絶対勝つぞ!」
「「「おーっす!!」」」

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