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インターハイバレーボール競技男子宮城県予選A・B区画の予選会場である仙台市体育館に烏野高校男子バレーボール部の部員が乗るバスは到着した。
自分たちの荷物を持って降りる部員たちに続くようにしてマネージャーである清水と巴もバスを降りる。
清水と話しながら歩いていた為、何が起きたのかはわからないが突然歩を止めた清水に気付き、思わず巴も足を止めた。
「"落ちた強豪 飛べない烏"」
予選トーナメント表を見ていた他校の生徒から漏れ出た、不本意な異名。
背後に立つ存在に気付いたもう一人の生徒が慌ててその生徒に声をかけていた。
「飛べない?何ですって??ん?」
「!?」
「コラ行くぞ!…スミマセン」
「あっイエ」
当然、田中がその生徒に突っかかりに行ったが主将の手前そんな行為が許されるはずもない。田中を嗜め、謝罪を述べただけのはずなのだが、その他校生は酷く怯えていた。その光景に呆れたように息をつく清水と苦笑いを浮かべる巴。再び歩き出した列に倣って、二人も歩き出した。
黒いジャージにガタイもかなり良い方である烏野高校男子バレーボール部の面々は予選会場でも一際目立っていた。ヒソヒソと噂する声が聞こえる。
「あ…!あれは…!まさか…!?」
「!?」
「烏野の…"アズマネ"…!!」
北高のやつを手下使ってボコッた、路上でヤバいもん売りつけた等、決して良くはない噂を立てられている東峰。東峰旭はその外見から勘違いされる事も多いが、同級生にも怯えるような気の弱い優しい人間である。
「いいじゃないスか、どう見られるかなんて!自分でカッコいいと思ってれば!!」
「こういうのをワイルドという」
落ち込む東峰に励ましのつもりで言ったつもりが、更に落ち込ませたとは全く気付いていない西谷。
「おいアレ見ろ見ろ!かわいっ」
清水に声をかけようとしている他校生に気付いた清水親衛隊の二人が彼女を囲うようにして威嚇のポーズを繰り出した。
当然、そんな中を掻い潜ってまで清水に声をかけるような猛者はおらず、清水が二人をはたく事によって二人の暴走は止められた。
「あの小さい奴って…千鳥山の西谷だよな…?中総体でベストリベロ賞獲ってた…」
「え!!そうなの!?」
「それだけじゃない…」
「オイアレってアレだろ…天才セッターって噂の――北川第一の"コート上の王様"…!??」
次々と噂されていく部員たち。その噂に伴った実力を持っている事を早く証明してほしいものだ。
「おい、てか見ろよ!あっちも!」
「うわ、めちゃくちゃかわいい…!」
またも誰かが噂をされているなか、自分には関係ないと思っている巴。
しかし不意に隣を見ると日向がなんとも形容し難い表情をして立っていた。
「日向くん?」
怒っているような、何か何か渋いものを食べたような、なんと言ったらいいか分からずそのまま見ていることにした。そして、そのあとすぐに何処からともなく小さな悲鳴が聞こえる。
「下手くそ」
「おっ、お前は怖すぎんだよ!」
「日向うるさい」
「あはは。巴ちゃん、こっち」
いつの間にか一年生が集結している。巴は穏やかな表情の山口に手招かれ、素直に側へ行くと影山の隣へ配置された。
「常に強面な王様のカオも役に立つね」
「あぁ?!んだと月島」
「あのこれは、」
「ここが安全地帯だから」
「やっべ、月島の睨みマジ怖え」
「山口は絶妙に死角の位置に巴ちゃんを招いたなぁ」
「一年包囲網…おいこら田中、他校を蹴散らしに行くな」
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