15


常波との初戦を終えた烏野高校の面々はロビーで次の試合に備えて各々休憩をとっていた。その間に所々で噂されている"烏野の10番"の話題に、日向の頬はだらしなく緩んでいた。

「な、なんだよ。うれしくたっていいじゃんか!おれあんな風に言われた事ないし!」

黙って日向の言い分を聞いていた影山は突然ニヤリと笑いだした。

「別に何も言ってねぇだろ。お前が注目されんのは良い事じゃねぇか。相手がお前に注目して警戒すればする程…」
「日向くんは本領を発揮する」
「…ウス」
「高嶺さん!」

観覧席から戻ってきた巴。

「おうその通りだな」
「コーチ!」

巴の背後から澤村と共に現れた烏養。日向が目立てば目立つ程、囮としての価値があがる。その烏養の言葉に日向は嬉しそうな表情を浮かべた。

「――で、2回戦のスターティングは」
「……」
「1回戦時と同じで行く」

次は、あの伊達工業。


「ゴーゴーレッツゴーレッツゴー伊達工」
「「ゴーゴーレッツゴーレッツゴー伊達工」

巴が観覧席に入ったと同時に開始された伊達工の応援。その応援に応えるかのように伊達工の選手たちの気合も十分に、一瞬にして会場は伊達工一色という雰囲気を醸し出していた。
その迫力に圧倒されながらもギュッと彼等から預けられたお守りを握りながら巴は頑張れ、とエールを送ったその時。コートから聞き慣れた頼もしい声が響いてきた。

「んローリングッサンダアァァッアゲインッ」

そう叫びながら見事な回転レシーブを決めた西谷。伊達工の選手たちまでも注目させた彼から放たれた一言。

「よっしゃあ!心配することなんか何も無え!!皆、前だけ見てけよォ!!背中は俺が護ってやるぜ」

わっと盛り上がる会場、先程までの緊張が嘘のように烏野高校のメンバーの顔つきが変わっていた。

小さい体で大きな存在感を放ち、チームに安心感を与える。一瞬にしてチームの空気すら変えられる、それこそが烏野の守護神、西谷夕という男なのである。

両チームがエンドラインに整列し、試合開始のホイッスルが鳴らされる。


第1セットは烏野がとり、そして第2セットも。最後に東峰が過去を振り切るように高く飛び、一点をもぎ取り締めくくった。

- 16 -

*前次#


ページ:



ALICE+