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――5組の、谷地仁花さん
お昼すぎに巴にきた清水からのメールの内容は、マネージャーに興味を示してくれたひとについて。
ひとまず今日は皆に紹介だけするようで、巴が体育館まで一緒に行き、清水と合流する手筈となっている。
放課後になって目的の教室へとたどり着いた巴。
誰かに声をかけて谷地を連れてきてもらおうと思い、視線を向けるとそこにいたのは一人の女子生徒。
その女子は巴と一瞬目が合うと、何故かビクッと身体を固まらせた。もしかして、
「あの、谷地仁花さんって…」
「ひゃっひゃい!谷地は私です、けど…!!」
「よかった。迎えにきたマネージャーの高嶺巴です」
「っ谷地仁花です!今日はよろしくお願いします!」
「ね、ねえ、高嶺さん。聞いてもいいかな?」
「うん」
「どうしてマネージャー探してるのかなって…あの美人な先輩も、綺麗な高嶺さんもいるのになあって」
トントンと階段を降りていって、体育館を目指している途中のこと。谷地から尋ねられた質問。
「だから、かな」
巴は最後の一段を下り終えて、谷地の一歩引いた所に立った。
「もっと、頑張るためには谷地さんが必要になるから」
***
「…なんでだろうなあ」
谷地仁花の言葉に答える者は誰もいなかった。それは当然で此処が体育館と校舎を繋ぐ通路だからだろう。今は人がいない。後ろからはバレーボールが床に打ち付けられる音と、部員の声が聞こえる。戻って聞いてみる勇気もないのだが、その考えさえ谷地には辿り着かない。
「高嶺さんは、どうして」
どこかの少女漫画から出てきたのかと思った女の子。見たことがあると思ったのは同じ学年だからだけではなく、彼女が一年の間で“高嶺の花”と呼ばれている噂の美少女だからだろう。
迎えに来たんですと真っ直ぐ見つめる瞳はすごくキラキラしていて、自分が持っていない輝きで、必要だと伝えられた時の表情も決してウソではないと分かる。分かるのだ。だからこそ
(まるで自分がだめみたいな雰囲気だった、よね)
一歩後ろに引いていて、さびしそうな声だった。けどそれは本当に一瞬だけで、初対面では察せない部類のものだ。けれど谷地には分かってしまった。似たような気持ちを、いつも抱いているから。
考えても考えても分からないし、結論など出ないのだが、首を傾げてしまう。あの体育館に居たのは5分程度だったけれど、雰囲気が恐ろしく良い場所なことは肌で感じた。
「う〜ん」
気の所為だったと流してもいいのに、どうも気になってしまう。だれに聞けば、分かるのかなと、脳裏で巴の笑みを思い浮かべたところでハッと気づく
(わたっ、わたしあんな綺麗なマネージャーさんたちの間に立ってしまった…!ファンの人とかに暗殺されたらどうしよう!?)
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