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黒尾に案内されながら体育館へと足を踏み入れた烏野の部員たち。ピリッとした緊張感に包まれたその空間に澤村たちの顔も自然と引き締まる。一通り合宿の説明を聞いた後、見慣れない存在に気がついた。

「なぁ前の練習試合の時音駒にあんな奴居たっけ?」
「!めっちゃこっち見てる奴?」
「そう」
「いや居なかったと思うけど…」

そう会話する菅原と東峰の視線の先にはスラリと長い手足を持つ男がいた。

「ドリンクもってきました」

グルリと体育館内を見回していた部員たちの耳に入り込んできた聞き慣れた声。慌ててそちらへと目を向ければ赤いジャージに身を包み、音駒の選手たちにドリンクを渡している巴の姿が。

「高嶺!?」
「いつの間に!?え、うそだろ?!」
「姿見ないと思ったらなんであんな格好…」
「っていうか高嶺がいなかったことに気づけなかった俺らは…!!」
「くそがぁあああオレは先輩のくせにぃいい」

「音駒、やっとマネージャー入ったのか?」
「しかもすんげぇ可愛い」

唖然としていた烏野高校のメンバーは他校から聞こえてきたその声に我に返る。NEKOMAと書かれたジャージを着用し、その部員たちと親しげにしている姿はどこからどうみても音駒の部員に見える。けれど、巴は紛れもなく烏野高校男子バレー部のマネージャーである。

「高嶺!」
「澤村さん」
「高嶺、なんで音駒のジャージ着てるんだ?」

澤村に続き、慌てたように菅原がそう質問する。

「実はさっき、音駒の方たちから今回もマネージャーしてほしいって頼まれて、これを貸してくれたんです。
…音駒のジャージ、かわいいですね」

何故か嬉しそうに話す巴を余所に二人は鬼の形相を浮かべ、黒尾の元へと向かった。

「ちょっと黒尾さん、これどういう事ですか?」
「おたくにはマネージャー二人いるからって快く引き受けてくれたのは巴だぜ?」
「そっちがそう言ってくるのは予想してた。けどだからって音駒のジャージを着る必要ないだろ?」
「あれじゃどっからどうみても音駒のマネージャーだろ!」

そう抗議してくる澤村と菅原をニヤニヤしながら見下ろす黒尾。

「合宿中は音駒のマネージャーだろ?見分けつくようにしといたほうが、周りも動きやすいしねぇ」

勝ち誇った笑みを浮かべる黒尾に悔しそうな表情をする澤村と菅原。今回もこうなってしまうであろうことは予想していた。けれど今の巴はどこからどう見ても烏野のマネージャーには見えない。

「巴は烏野のマネージャーだ!」
「今はうちのマネージャーです」

主将二人の間に再び火花が散らされた。

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