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 犯人グループのリーダーが此処を出て結構な時間が経った。ダイニングでは、男と仲間のウェイトレスが私たちを見張っている。

 百合と工藤くんは大丈夫なのかしら…バッジを盗られてしまったから確認したくてもできない。まあ、あの二人のことだから。生き延びてるわよね。そんなとき、残された犯人グループの一人が持っているトランシーバーから、工藤君の声が聞こえてきた。

 『残りの人聞いてるー?リーダーやっつけちゃったよ。他の三人も』

 よかった。やっぱり、無事のようね…。安堵に胸をなでおろした。

 「な、何?いい加減なことを…」
 「うりゃぁっ!」

 そんな様子を見て警部が、気を取られている男に体当たりした。あのおじいさんも犬を使って応戦する。

 「行け!ルパン!」
 「ワンワン!」

 警部に抑え込まれている男に向かって犬が突進。高く上げた片腕に思い切り噛みついた。ダイニングに男の叫び声が響いた。その声を聞きつけ、ウェイトレスの女が現われた。男の手から離れた拳銃を拾おうとするおじいさんに向かって発砲する。さらに撃とうと拳銃を構えている隙に、彼女のお父さんが腕を掴んで背負い投げを食らわした。背中にかなりの衝撃をくらい、女はそのまま気絶した。彼、さっきまで眠りこけていたのに…いつの間に覚醒したのかしら。

 「やった〜!!」
 「ったく!こんなモン、振り回すんじゃねえ!」

 私は女のポケットから零れ落ちたバッジを取り返し、江戸川くんに連絡を取った。

 『江戸川君、こっちの二人もやっつけたわよ』
 「了解」

 その後、コナンは男のスマホと、細菌のアンプルを取り出して調べている。

 「すっごい数の履歴だ。ねぇ、誰と電話してたの?それもこんなにたくさん」

 コナンの問いかけに男は無視を決め込むようだ。

 「ふーん、話したくないなら、これの中身…かけちゃうよ?」

 リーダーは暫し沈黙していたが、すぐに顔を逸らして静かに言った。

 「好きにしろ…」
 「…ふっ」

 男の反応に、コナンはニヤリと笑みをこぼした。

 ***

 「なんでこないなことになったんや…」

 平次は、バイクを走らせながら呟いた。後ろには、和葉が乗っている。そして…

「平次おじさん、何か言いましたか?」

 和葉の親戚だという、少年。コナンとの電話の後、奈良へ行くという平次に二人は着いていく、と言い張ったのだ。三人乗りは違法だ、と平次は反論したが、和葉がいい案がある、といって押し切った。結果、少年は和葉の腕の中で、服にくるまれている。平次としては、結構な複雑な状況だが。そもそも、探偵が法を犯すというのもおかしな話である。

 「ここか…豪福寺」

 バイクを止めて、三人は降りた。そこは奈良の由緒あるお寺のひとつ。古き良き場所として、観光地としても有名だが…テロリストの乗った、煙を吹いている飛行船がこちらに向かっているせいで、人は皆避難させられた。もちろん…お寺の、住職も。周りを見れば、人はおろかハエ一匹見つけられそうにない。それに、あたりはもう暗くなっていた。だが…豪福寺には、1台のトラックが止まっていた。そしてその先で何やら影が動いている。

 「うまいこと考えたモンやなぁ」

 平次が声を張ると、影は動きを止めた。

 「飛行機使たバイオテロは、陽動作戦…。アイツは、犯人のこと[害虫]っちゅーっとったけど…なるほど、確かに害虫みたいなモンやな。まあ飛行船のほうは、大方駆除終了したらしいからのぉ。こっちも、駆除させてもらうでー?害虫サンよぉ…」

 そう。バイオテロは、あくまで人々の注目を集めることが目的だった。人々の注目を集め、不用意に危機感を煽り、避難せねばならない状況へ追い込み…そして、お寺に人がいなくなって、警備が甘くなる瞬間。そこを狙って、数々の仏像を盗み出す…。
 恐ろしいことに、それだけのためにハイジャックを敢行したのだ。日本の仏像は、さまざまなところで高値で売れる。犯人グループは、そこに目をつけた。

 「お寺のセキュリティが甘くなりがちなとこにつけ込んだんだね」
 「普通、仏さん盗もうっちゅう奴がおるなんて思わんからのぉ…」
 「ホンマ、バチ当たんで!」

 セキュリティが強化されている現在、コンピュータによる警備がされていないのはお寺くらいのもの…

 「何言うとるんや!ワシらは仏さん守ろ思て…」

 止まっていた影の中の一人が、弁明をするように口を開いた。影は皆、刑事の恰好をしていた。隣には、外に運び出された仏像がある。どうやら男達は、この状況でシラを切るつもりらしい。

 「それやったら、奈良県警の警部はんの名前…誰でもええから一人に言うてみ?」
 「そ、それは…」

 "なんちゃって刑事"の男がどもる。平次らはそれを見逃さない。

 「おまわりさんなのに変なの!」
 「ほら、いてはるやん!奈良にぴったりの名前の警部はんとか…」

 男らは、何やらぶつぶつと話し出した。

 「相手はガキだけや、やったれ…」
 「もしもーし!今、何て言うた?」
 「相手はガキだけやとか言うてたで!」
 「あの人ら、アホなんちゃう?」
 「ホンマや…泥棒捕まえんのに、俺ら三人だけで来るわけないやないか!」
 「何っ!?」

 その時、カッと閃光が飛んだ。一帯は大きなライトと、そして、

 「あ〜、こちらは奈良県警捜査三課警部…鹿角剛士!よー覚えときや!奈良県警なめとったらアカンで!」

 大勢の刑事がいた。

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