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昼間の稲実の試合をチェックする巴の横顔を眺めながら、二年前のことを思い出していた。
鳴のそばに巴を置きたくないなんて、今から思えば子どもじみた独占欲だ。
別に鳴は俺より先に巴と知り合ってるだけであって、実質ずっと一緒にいたのは俺の方だった。
ただ、巴が、鳴のピッチングの時だけは絶対に目を逸らさないから。
――俺を見ないから。
髪の毛をつんつん引っ張ると、稲実が攻撃に移ったところでようやくこっちを振り向いた。
ほら、こうやって鳴が投げ終わるまで待つ。
「なに」
「……別に」
歯切れの悪い俺の返事に巴がこてりと首を傾げる。
テレビを見て、俺に視線を移して、それから俺たちをなんとなく眺めている周りの部員に目をやって、ぱちぱちと瞬いた。俺自身だってこのもやもやした感情をどう表していいものかわからない。
それでも巴は、くるりと体ごと俺の正面を向いた。
「御幸一也が一番よ」
「ゲホッ」「!?」「ぶふぉ」
突如投げかけられた言葉に俺より周りが噎せている。
真顔でなんちゅーこというんだコイツは。
「諸先輩方にはたいへん申し訳ございませんが…昔から一番近くで見てきたから。
野球をしている人の中じゃ、私は御幸が一番格好いいと思ってる。
だから明後日は鳴より、ちゃんと御幸を見てるよ」
「ちょ、ストップストップ、さすがに恥ずいって……」
「言わないとわからないと思って」
「何、なんなの、え、結婚は待ってください、オレまだ16だし」
「大丈夫、御幸と結婚する予定はない」
「それはわかんねーだろ」
「そういうのは二人の時にしろ!!」
すかさず倉持が怒鳴りつけた。
机に突っ伏して撃沈する俺をつんつん突いてくるのは、多分亮さんだと思う。
「へぇ〜一番。妬けるね〜」
「うわー御幸の顔、真っ赤」
「珍しいもの見たな」
「明日は雨だな」