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『ここまで来れたのも みんなの お陰です!
僕は原田先輩のリードを 信じてますから!』

不自然な微笑みを浮かべる「都のプリンス」が画面中央でインタビューを受けているのを、その両脇に控える稲実の三年生がなんともいえない表情で見下ろしている。
危なげなく準々決勝まで駒を進めた稲実の面々を、とってもヤンキーなお顔になった倉持が画面越しに睨みつけた。

「まあ……俺らに勝ったんだからそう簡単に負けられても困るけどよ……あんま活躍されすぎると何か腹立つな……」

『チームを信じて がんばるぞ――!!』

流石にこれには巴も鳥肌がたったらしい。

鳴ちゃんフィーバーを巻き起こす彼は、準々決勝の初回に初失点。
新聞では「全然気にしていません」というコメントが載っていたが、その笑顔が確実に引き攣っているのに、付き合いの長い巴と御幸は当然気付いていた。

「……気にしてんなぁ」
「…うん」

快進撃の続く稲城実業、甲子園準決勝の熱闘の裏、青道高校野球部は今日も練習試合を組んでいる。
海耀高校との練習試合は神奈川に赴いての遠征となった。巴と梅本が同行し、夏川と春乃が青道に残る。

試合では先発の降谷のあとを受けて六回から沢村が登板。
ヒットと四球で七回に一点を失ったものの、その後はきっちりと締めて、練習試合四勝目を上げた。
帰りのバスの中で御幸の隣に座った巴は今日のスコアを広げる。

「…沢村、大丈夫なの?」
「沢村?」
「うん。なんか、うまく言えないけど。表情、強張ってないかな」

後ろの方の座席で金丸たちとお喋りしている本人に聞こえないように声を潜めると、御幸は眉を寄せて険しい表情になった。

「……最近コース甘いことがあるからな。厳しく言ってるしそのせいなんじゃねぇの?」
「厳しく言いすぎなのかな。でもそれでへこたれる子じゃないわよね」
「ボール自体は問題ないけど。今日も一失点で抑えたし。問題はむしろ打線だろ」
「そこは御幸がどうにかしないと」
「どうにかってっつってもな」
「ここ数試合、いつもなら打てる場面で打ててないし。もともとムラっ気があるのにさらにひどくしちゃって……」
「――前からわかってたことだろ。ムラがあるのは」

怒気を孕んだ語尾に、動きを止めてしまった。
御幸のこの声が聞こえた周りの席の二年生たちが視線を向けてくる。
高嶋先生もこちらを振り向いたので、余程乱暴なように聞こえたのだろう。
今のは巴の言い方が悪かった。
余裕がないのは彼女も同じだ。

「……悪い」
「ううん、私の言い方が悪かった。ごめんなさい」

沢村のコースの甘さをあまり追い詰めすぎてもよくないのと同じ。御幸もいっぱいいっぱいなのだから、自覚している欠点を指摘してわざわざ傷付けることはない。
距離を詰め間違えて出しゃばった自分が悪かった。

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