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秋季大会一次予選の組み合わせ抽選会が行われた。
東西全260校が24ブロックに分かれてトーナメントを行い、各ブロックの上位2校が本大会に進出。本選で優勝したチームが、春のセンバツ出場権を得る。

その日の練習から沢村が守備練習に合流した。
守備の経験がほぼないため、ボールに追いつけなかったりバンザイしたりと散々だが、しっかりと中継まで返球はできている。ボールに触るのも久々なはずだがそこはやはり投手、投げることに関しては問題ないようだ。

薬師との練習試合で浮かび上がった課題。
沢村のイップスと、未だ上手くつながらない打線。いくつかの不安を抱えたまま、秋大の背番号が発表される。
――エースナンバーは降谷へ。

正捕手に御幸。同期からは、夏に引き続いて倉持、白洲、川上と樋笠に加えて前園や山口が上がってきた。一年生からは持ち上がりで小湊、それから東条に金丸。そして、沢村。

***

九月十二日――秋季大会ブロック予選第一回戦。
青道高校は当番校にあたるため、試合はいつも練習しているAグラウンドで行われる。バスで移動しなくてもいいぶん負担は少ないけれど、公式戦という気分はあまりしなかった。

一回戦、対豊崎戦は六対〇で問題なく勝利した。
格下を相手に九回まで戦ったけれど、今のチームとしては調子よく滑り出した方だと思う。
降谷―川上のリレーで完封。二人とも危なげないピッチングで試合を進めてくれた。
相も変わらず打線はいまいちつながりきらないが、本選までには形が見えてくるだろう。

それから数日後、沢村がブルペンに戻ってきた。
御幸が座り、バッターがいない状態での投球と、監督が打席に立った状態での投球を、ビデオに撮って食堂でチェックしたとのことだった。ただフォームに問題があるかというととても微妙で、最早誤差の範囲内。明確な原因は未だつかめない。

九月十九日、ブロック予選二回戦。
これまでの一番倉持・二番小湊・三番前園の打順に変化を加え、三番白州のオーダーで臨んだ対都立三野戦は、八対〇で七回コールド勝ちとなった。

そして翌日、迎えたブロック予選決勝戦――
先発の降谷が立ち上がりにフォアボールを連発し二失点。

ブルペンで沢村と並んで投げていた姿は好調に見えたが、開始早々その大荒れっぷりにベンチも呆然としている。
立ち上がりの失点は降谷の課題として確かに挙がってはいたものの、今回はあまりに内容が酷すぎた。
こちらから見ても明らかに力のない棒球が痛打を食らい三点目。
ここで降谷くんはレフトへ、慌てて肩を作ってた川上がマウンドへ上がり、ランナーを背負っての緊急登板、代わった直後に一点取られたもののその後は無失点に抑えてくれた。

一方、降谷の大荒れに対する焦燥の表れか、打線では苦労した。
初回の四失点に追いついたのが七回。
どうにかこうにか四対六で勝ち越し本選進出を決めたものの――


「これが……お前たちのやりたかった野球か」

片岡監督のその一言が夕暮れに沈んでいく。
腰に手を当てて俯く監督の前に整列した部員たちも、本選進出を決めたチームとは思えないほど険しい表情をしている。
それと対照的に、胸を張って帰ろう、という成翔高校の監督の明るい声が聞こえてきた。

散々な試合内容だった。

初回からエースがペース配分も考えずに大荒れのピッチング。
四点リードされたことに焦って牽制でアウトを取られる。小フライを打ち上げる。初球から難しい球に手を出す。決して攻略の難しくない投手相手に、七回になるまで苦戦した。

「夏の悔しさをもう忘れたか? 御幸」

その一言が突き刺さる。

――多分自分は、あの決勝戦を一生忘れることができないでしょう

「毎日なんのために練習しているんだ!? この日のためだろう!!」

監督の怒声がグラウンドに響き渡る。

「まだ予選? 強豪校のいないブロックだから勝ち上がって当然とでも思ったか!? 自惚れるな!!」

強豪校のいないブロックだから勝ち上がって当然。
格下相手に九回まで戦ったなんて怒られる。

「目の前の試合を選手一丸全力で戦えないチームが――甲子園に行けるか!!」

自惚れていたつもりはなかった。ただ驕っていた。
甲子園に行くって、稲実にリベンジするって、そればかり考え。夏、ダークホースに喰われた市大三高を目の前で見ていながら、都立の超進学校でありながらベスト四まで勝ち残った桜沢を見ていながら、心のどこかで、自分たちにそれはないと思い込んでいたのかもしれない。

監督が部員みんなに終わりのない外周を言いつけ、結局その日は日が暮れるまで続いた。

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