そうだ、慰安旅行に行こう2
保護者会により旅行についてはすんなり決定したらしい。
高島先生からそう言われた。ちなみに今日呼ばれたのは、巴と御幸の二人。
「それでね、色々と決めてほしい事があるの」
高島先生から頼まれた用件は二つ。
行き先と参加者だった。
「参加者って…礼ちゃん、全員参加じゃねーの?」
「去年、3年生も修学旅行に行けていないでしょう?
夏の大会も惜しかったし。あの子達も参加させてはどうかしらって思ってね…」
親御さんの許可が下りればの話だけれど…と、3年の父兄は既に保護者会には参加していないので
その辺の人数をきちんとまとめてほしいということだった。
「分かりました、人数把握出来たらすぐにお伝えます」
「よろしくね、あと1年生も」
「は?1年も行くの?あいつら来年修学旅行いくかもしんねーのに?」
「それはそうだけど…」
「来年もきっと秋大中でいけないと思う」
「調子のりそうだな、あいつら…」
1年だけいい思いしてねえ?という子供のように拗ねてしまった御幸はさて置き、必要書類を高島先生から受け取る。
スタッフルームを出て、二人で書類を見つめる。
名前を記入する欄には太田部長と落合コーチの名前が既に書き込んであった。
「監督と高島先生…来ないのかな?」
「現国と英語は忙しいのか?」
1年生はミーティングの時に伝えるとし、3年生はひとまず前キャプテンの結城に話をしてからの方が早そうだ。
それからすぐに御幸が連絡を取り、3年生は明日の夕方食堂に集まってくれる事になった。
***
「…旅行だと!?」
「はい、3年生も一緒にどうかって…礼ちゃんが」
「高島先生っていうか、監督たちの計らいだろうな」
「あぁ」
「…俺行くー」
最初に手をあげたのは小湊兄。そしてその流れに乗るようにして他もどんどん手を上げ始め、気付くとほぼ全員参加表明をしていた。
「…では、皆さん参加で先生には提出しますね」
「あぁ頼む」
「それでどこに行くんだ?」
「それはこれから決めるようです」
「中学の頃、京都行ったしさー京都以外がいいな」
「あっ、お前も?俺も京都だった!」
「京都は却下なー」
去年修学旅行に行けなかった三年はやはり旅行には憧れていたようで、皆一様に言葉を弾ませていた。
「それで2年はさておき、1年も行くんだ?」
「はい、たぶん」
「マネージャーも?」
「え?」
「お前らも参加すんのか?藤原も?」
巴が今日お昼に直接貴子先輩には連絡をし、即答で行くと答えていたので間違いない。
「はい、貴子先輩も参加です。
春乃ちゃんも恐らく来ますし、マネージャーも連れて行ってもらおうかなって…」
「おう、来い来い!歓迎だ!」
「へぇ〜…ってことは、巴と一つ屋根の下で泊まれるってこと?」
「亮介…何考えてんだ」
「え?皆も考えてることは一緒でしょ?」
何の話をしているのか巴には分からないようだったが、男子には小湊兄と考えていることは同じらしい。
すると彼女の隣にいた御幸が意地悪そうな顔をした。
「まぁ…その“一つ屋根の下”にはオレもいますけどね」
3年が一斉に御幸を見た。御幸の言葉で部屋の空気が一変したのだ。
先輩の視線に気づいているのか、御幸は終始笑顔だった。
「くそっ、まあいい。じゃあ参加って事でよろしくな」
「行き先とか決まったらまた教えてくれよ」
「んじゃ、帰るわ」
既に寮を出ている先輩達は話し合いが終わると帰って行った。
残った先輩達は、そのまま座って行き先について話している。
どうやら1・2年生のミーティングにも顔を出すみたいだった。
「今から決めるのか?行き先」
「そうですね、全員集まりますので」
「なぁ、韓国で肉を山ほど食いたいと思わないか?」
「あー…哲、海外は難しいんじゃねーの?」
「む、そうか?」
「パスポート申請で時間かかるだろうしね」
「ってゆーか、哲帰らなかったのかよ」
「…あぁ、気になるからな。行き先が」
そのまま全員席に座って話していると時間が近づいてきて、部員たちが食堂に少しずつ集まってきた。
間もなく、1・2年生(一部3年)ミーティング開始。