そうだ、慰安旅行に行こう7
青道の団体が入場ゲートを通過してから20分ほど経過した頃、同じように入場ゲートに近づく、修学旅行のような団体がいた。
「とりあえず入ってすぐ何か食おうぜ」
「それがいいですね」
「樹、なんでお前も一緒なの?」
「班行動だからですよ!?」
「お前ら、なんだかんだでだいぶ仲良くなってきたじゃねーか」
「雅さん、どこ見てたらそんな言葉出るの!?」
稲実野球部もまた、この時期に野球部の旅行が組まれていた。
稲実の場合は毎年恒例の事。今年はたまたま九州のようだ。
そのなかで成宮は一人そわそわしていた。
ようやく大好きなあの子から返事が来たと言うのに、長崎にいる?
偶然とは思えないような出来事に驚きを隠せない。
「ねぇカルロ、」
「あ?」
「なんで巴、長崎来てんのかな。青道って今の時期修学旅行なのかなー」
「さあな、俺は青道の年間スケジュールまで把握してねーから」
「御幸と2人で来てたりしてね」
「しーらーかーわーっ!?」
「おい、お前ら少し静かに……!?」
原田が勢い良く立ち止まる。そして頭を下げた。
雅さんがこんなところで一体誰に?
皆の視線はその会釈相手にうつった。
「!!」
そこにいたのは、青道の片岡監督。そしてスタッフ陣だった。
とてもくつろいだ感じで景色を眺めたりしている。なんで、ここに青道が!?
慌てて国友監督に知らせ、驚きながらも挨拶をし、片岡監督と国友監督が会話をする。
未だに言葉を失ったままの者もいる生徒達であったが、一人さっさと奥に行こうとしたのは成宮。
なぜ巴が長崎にいたのか、やっと謎が解けた。つーか野球部の旅行だって!?
マネージャーも参加していると言われた。それ一也もいるんだろ!?
なんだそれ、何参加してるんだあのバカ!くっそ…
「おい待て鳴!」
「なに!?」
「飯が先だ!」
「はぁ?巴探すのが先でしょ!」
「そりゃお前の都合だろ!直に見つかるって」
結局、周りに押し切られ「後で一緒に探す」を条件に先にレストランに入ることになった。
「成宮、頼むから落ち着いて食え」
「落ち着いていられるわけないでしょ!
あ、オイラ巴見つけたら別行動するからよろしくー」
「ったく…」
やっと食事を済ませ、まただらだらと歩く成宮の班。
原田、吉沢、平井、カルロス、白河、多田野…などが一緒である。
「ねぇ!カルロは右側見て!翼くんは左側ね!
樹は斜め向こうの…あーもう!なんでこんな沢山分かれ道あるのここ!」
「こうやってみてると、あちこちいますね、青道…」
「肝心の巴が見当たらねーけどな」
「カルロ!呼び捨てやめろ!」
そんな時、目に入ったのは何やら怖そうな建物。
巴探しは後にしよう、みんな迷わず歩き出した。
「ねぇ!お化け屋敷とか入らないからね!」
「怖いんだろ?出口で待ってろ、都のヘタレ様」
「鳴さん、俺がどんなんだったか後で教えてあげますからね!」
「成宮、これ持ってて」
特に無理やり中には誘われない成宮。
お化け屋敷は昔から苦手だ。
だけど、ヘタレとか言われるとさすがにムッとくる。
「別に怖かないさ!オイラも行ってやんよ!」
「お、じゃあお前一番前な〜」
「なっ!…あ!樹!お前が前行け!1年だからっ!」
「俺ですか?別にいいですけど」
さらりと先陣を引き受けた樹に多少ムカつきつつ、入場した。