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卒業まで残り1日になった


とうとう明日が卒業式


3年間の高校生活が終わる


「ついに明日が卒業式です、皆さんそれぞれ思い出があると思います、これからも忘れずに―」


ゲン先生の言葉は、ただ耳を抜けていくだけで心に留まらず、上の空で


「最後の1日、頑張りましょう」


号令で席を立ち挨拶、ここ10日は午前中だけの学校なのに、凄く長く感じた


「○○」


『ブルー…』


「どうするのよ」


『…な、何が?』


「はぁー、ゴールドにレッドよ、まずゴールド断らなきゃさ、レッドに告白できないじゃない」


『………』


「もぉー」


煮え切らないわ、とブルーは呆れ顔で―頑張るとさんざん言ってきて、結局は頑張らずに怖気づいて


今日もレッド君は告白の嵐で、私が入る隙間がない






「○○先輩いますか?」


「うわっ、ゴールド!」






『………―』


何を言えばいいんだろうか、傷付かない断り方を―


「探しているんですか?」


『っ、』


「―解っているって言ったじゃないですか…ねっ」


無理に笑うゴールド君に、胸が締め付けられて苦しい


『ごめんなさい』


「大丈夫っすよ、○○先輩に断られるのを承知で告白したんですから―でも、やっぱり…悔しいな」


『………』


やっぱり言葉が見つからない


慰められない、ゴールド君にこんな顔をさせるつもりじゃなかったのに、私は―


「…○○先輩、ちゃんとレッド先輩に…思いを伝えてください」


『………ぅん』


「じゃなきゃ、俺みっともないっすからね」


『…ありがとう』


「―…じゃあ」


去っていくゴールド君の背中を見つめながら、私はこの学校生活が恵まれていたんだなーと思った

辛いことばかりにしか目がいかなくて―すぐ傍にある幸せに目を向けなかったんだ


だから、大切な人たちに迷惑をかけてしまったんだと―


『レッド君…レッド君、好きよ』


こみ上げてくる感情を抑えながら気持ちを声に出すけど、これじゃあ伝わらない


少しだけでも良いから、私のことを見てよ―一瞬だけでも






「○○…泣いているの?」


聞きなれた、大好きな声に振り返る


大好きな彼の前


泣いていたのかと頬に手を添えてみると、涙に触れた―それをすぐさま拭う


『ううん、大丈夫…よ』


彼はいつもの無表情に少しだけ、違和感を感じる―疑いと不機嫌のような


「なら、いい」


彼が去ろうとした背中を見て、さきほどの言葉を思い出して、とっさに息を吸って、声を発する


『レッド君!』


振り返った彼に―


『っ…、好き』


ただ一言だけ伝えた






「○○はそのままで…、そのままが良いよ」


何故だか解らないまま微笑む彼を見つめる


視界が涙でぼやけて―フられた…、そう、感じた



去っていく彼の背中を見て涙を流した気がする



あっさりと、終わった

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