01
卒業まで残り1日になった
とうとう明日が卒業式
3年間の高校生活が終わる
「ついに明日が卒業式です、皆さんそれぞれ思い出があると思います、これからも忘れずに―」
ゲン先生の言葉は、ただ耳を抜けていくだけで心に留まらず、上の空で
「最後の1日、頑張りましょう」
号令で席を立ち挨拶、ここ10日は午前中だけの学校なのに、凄く長く感じた
「○○」
『ブルー…』
「どうするのよ」
『…な、何が?』
「はぁー、ゴールドにレッドよ、まずゴールド断らなきゃさ、レッドに告白できないじゃない」
『………』
「もぉー」
煮え切らないわ、とブルーは呆れ顔で―頑張るとさんざん言ってきて、結局は頑張らずに怖気づいて
今日もレッド君は告白の嵐で、私が入る隙間がない
「○○先輩いますか?」
「うわっ、ゴールド!」
『………―』
何を言えばいいんだろうか、傷付かない断り方を―
「探しているんですか?」
『っ、』
「―解っているって言ったじゃないですか…ねっ」
無理に笑うゴールド君に、胸が締め付けられて苦しい
『ごめんなさい』
「大丈夫っすよ、○○先輩に断られるのを承知で告白したんですから―でも、やっぱり…悔しいな」
『………』
やっぱり言葉が見つからない
慰められない、ゴールド君にこんな顔をさせるつもりじゃなかったのに、私は―
「…○○先輩、ちゃんとレッド先輩に…思いを伝えてください」
『………ぅん』
「じゃなきゃ、俺みっともないっすからね」
『…ありがとう』
「―…じゃあ」
去っていくゴールド君の背中を見つめながら、私はこの学校生活が恵まれていたんだなーと思った
辛いことばかりにしか目がいかなくて―すぐ傍にある幸せに目を向けなかったんだ
だから、大切な人たちに迷惑をかけてしまったんだと―
『レッド君…レッド君、好きよ』
こみ上げてくる感情を抑えながら気持ちを声に出すけど、これじゃあ伝わらない
少しだけでも良いから、私のことを見てよ―一瞬だけでも
「○○…泣いているの?」
聞きなれた、大好きな声に振り返る
大好きな彼の前
泣いていたのかと頬に手を添えてみると、涙に触れた―それをすぐさま拭う
『ううん、大丈夫…よ』
彼はいつもの無表情に少しだけ、違和感を感じる―疑いと不機嫌のような
「なら、いい」
彼が去ろうとした背中を見て、さきほどの言葉を思い出して、とっさに息を吸って、声を発する
『レッド君!』
振り返った彼に―
『っ…、好き』
ただ一言だけ伝えた
「○○はそのままで…、そのままが良いよ」
何故だか解らないまま微笑む彼を見つめる
視界が涙でぼやけて―フられた…、そう、感じた
去っていく彼の背中を見て涙を流した気がする
あっさりと、終わった
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