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「ついに、卒業式ですね…もう言う事はありません、最後のこの日をどうか忘れずに、思い出にしてください」


ゲン先生の笑顔を見せる表情に少し寂しさを感じて、私も離れがたい寂しさを感じた




「○○〜」


『ブル〜』


卒業式当日、
桜は綺麗に咲いていた


教室に集まるクラスメイトの中に、レッド君は見当たらない―私のせい…かな


「セーフ!まだ教室だ」


「あっ、グリーンじゃん、まだ来てなかったんだ」


「え、ちょ、酷くないか?ってか、レッドお前大丈夫かよ」


「息、できなくて…死ぬかと思った」


息を荒くし、制服の乱れを直すレッド君


「女の子たちに囲まれて大変だったんだぜー、ボタンくださいって、卒業式終わってからね、つったらさ、待ってられない!って襲われてさ」


「はぁーん、最後の最後までモテモテね」


「へへ、まぁーな」


「自慢かよ」


『………』


こんな会話も最後なのかな

楽しい時間もこれで終わり


別々の進路だもんね

しょうがない…うん


「○○、まだ泣くなよ」


いきなり私の髪の毛を
クシャリと撫でたグリーン


「卒業しても連絡する、また会えるって!」


『でもグリーンは、ジムリーダーなんでしょ?割く時間なんてあるの?』


「おう、○○のためならジム戦放り出して抱きしめに行くぜ」


『ふふ、ありがとう』


「んっ!」






「3年間の高校生活、充実した日々だったと思います、それぞれの進路をしっかり歩んで―」


オーキド校長の
長い話も今日で最後

1人ずつ卒業証書を貰い受け、校門まで続く在校生の作った道を歩く


「何かあたし泣くかも」


『ブルーも泣くんだぁ』


「鬼の目にも涙ってやつ?○○も泣いていいわよ?ほら、ゴールドいるじゃん」


こちらに気づいたゴールド君は、ニコっと笑顔を向けてきた


「卒業おめでとうございます」


「ありがとーあたしたちがいなくなって寂しいでしょ?」


「あ、いえ、ブルー先輩はどうでm」


言い終わる前に、
ブルーの鉄拳が鳩尾に一発


「うっ、げほ…やっぱり寂しいっす」


「はぁー?やっぱりってムカつく、あ、N先生ー!」


『あら、行っちゃった』


「…卒業ですね」


『うん、やっとね』


「進路って―」


『大学行って、ブリーダーの方に進もうと思ってるの、グリーンみたいにジムリーダーとか、ブルーみたいに旅に出たりは私には合わないかなーって思って』


「そうっすか…頑張ってくださいね」


『ありがとう…ゴールド君も残り1年頑張って勉強するんだよ?』


「へへ、もちろん頑張りますよ!」


『ふふっ、うん』


あぁ、笑ってくれて、
本当にありがとう







「じゃあ○○、春休み連絡するから遊ぼうねー!」


「俺も連絡すr「携帯ぶっ壊すぞ」…な、ならまたな!」


『うん、バイバイ!』


校門を出て、2人と別れる


グリーンの制服ボロボロだったな―思いだして笑ってしまう


そういえば、レッド君はもう帰っちゃったのかな…卒業式終わってから見てないし―また女の子たちに囲まれて息苦しくしてるのかも


『このまま、さよなら…なのかな』


結局思いは伝わらず


散々辛い思いをして


―今のまま


『ダメだ、さよなら…したくない』


今更、涙が溢れてきた


友達のまま終わるの?


そんなの、もう嫌だ




踵を返して
マサラタウンへ向かう




途中の坂道には
桜がたくさん咲いていた




『っ、レッド君!』


「○○…」


レッド君の赤い瞳を遮る、
桃色の花びら、何故か距離を感じて切なくなる


『レッド君、あのね―』


「あ、待って」


レッド君の手が伸びてきて
髪にかかっていたであろう
桜の花びらを取ってくれた


「…花飾りみたいで、綺麗だよ」


微笑んでくれた


心臓が鳴いてる―幸せだと




『レッド君、私ずっとね、多分…初めて会ったときから―』


気にならなかった、ふりをしていたんだろう―手が届かない人だって決めつけて

何度も何度も諦めたけど、
やっぱり―


『レッド君のこと、ずっと…ずっと前から―好きでした』


あぁ、やっと…言えた







「…過去形?」


『え、あっ、』


「好きです、でしょ」


甘い香りに抱き締められた


「俺も、多分最初に目があった日から…好きだったかもしれない、でも俺ってさ…無愛想だし」


『そんな事無いよ?』


「…だからさ、○○の事傷つけちゃうと思って―昨日はゴメン、やっぱり○○が好きだ」


抱き締められて顔は見えないけど、ちょっと顔を動かし盗み見ると…耳まで真っ赤にしていた


『…あり、がと』


涙が溢れて舞散る桜が
視界を桃色に染め上げる


「俺もありがとう…○○に好きになってもらえて、凄い嬉しいよ」



 


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