04


「おはよー」


『おはよう、ブルー』


「もう大丈夫?」


『うん、昨日より全然痛くない』


「なら良かった」




「あはは、気持ちだけ受け取っておくよ、またね」


ガヤガヤうるさいと思ったら、廊下でグリーンが女の子に囲まれている


「うひゃー告白の嵐だわ」


『モテモテね』


あの子たちは、あんなにはっきり、あっさりと自分の気持ちを伝えられるんだ


どんなに願ったって、思い通りにはいかない世界―大きな流れには逆らえぬ小さな私は、自分の大事な気持ちを伝えられない


『あと4日…たった4日』


「………○○」


『?』


「自分の気持ちに従いなさい、あたしやグリーンが手伝ってしまったら、今までの思いを全部打ち明けられないでしょ」


約3年間、思い返せば短かったけど、1つ1つの思い出はとても大きくて―


「あたしたちは応援して、励ましてあげることしかできない…―」


『ううん、それだけでも私には大きな力になったから―ありがとうね』


ブルーに会えなかったら、
こんなに学校生活は楽しくなかったし、この気持ちに気付くこともできなかった


「っ、○○…」


思わず涙目になるブルーにもらい泣きしそうになった


でも、まだ泣いちゃダメ


『〜、…今日頑張る』


「うん…ちゃんと伝えて」



「え、俺に?」


両手いっぱいに花束や小包、手紙をかかえて、グリーンは分け入ってきた


「…お前はいつも、間が悪いんだよぉぉおお!先にこの世から卒業しろぉお!」


「ぐはっ」


ブルーの右拳が、グリーンの左頬に―効果は抜群だ!


「ったく、調子にのりやがって…」


『あはは…痛そう』


「全く、役たたずが」


『まぁ…何かと、協力してくれたけどね』


「2年の夏休みとか?」


『あっあれは、その…』


「…ぷっ」


『何で笑うのよ!』


「○○顔が赤いよー」


『うっ、嘘?!』


ポケットから鏡を取り出して見てみると、案の定頬はグリーンの殴られた頬の様に真っ赤になっていた


「あっ、レッドおはよう」


「おはよ」


『お、おは…よっ』


「………おはよう」


あれ…何か様子がおかしい


「変ね…」


『今日で…大丈夫かな』


「決めたでしょ!今日だって!曲げたらもうチャンスは無いのよ!」


背中を押されて決意する


放課後に、あの場所で伝えよう






『レッド君』


「なに?」


相も変わらず無愛想だけど
今ではそれを、嫌だと思うことは無くなった


『今日の放課後…ね、中庭に来てくれない?』


「…何で?」


『あ、いやーその…そっ!またピカチュウに会いたいなーって思ってさ…卒業したら、…会えなく―』


「分かった」


…会えなく―会えなくなったら、寂しいから


そう言いたかったのに、
遮られて悲しくなった


未だに取り巻きの女の子たちはいて、少々睨まれたが気にしないようにした

それからブルーたちのもとに戻って、報告し、授業







そして、放課後


『…行きたくない』


「はぁ?!」


「ちょっ、今さら何を言ってるの!レッドはさっき教室を出ていったのよ!」


『こっ、怖いんだもん…告白して、嫌われたり、もう喋ったりしてくれなくなったら…可能性だって―』


これっぽっちも無いんだ


只のクラスメイトが調子に乗って近づいて告白する―
戻れなくなったら、どうするのよ


「可能性云々の話じゃねーよ、○○…少しだけの確率でも勝てるバトルは勝てるんだ、そんなのに負けるほど○○の思いは弱かったのか?」


『………』


「………グリーンが言っても説得力無いんだけど」


「え、ちょっ、俺今すげー良いこと言ったくね?」


『ちょっと…意味が分からなかった、かなー』


「うんうん、それにグリーンはレッドにバトルで勝った事無いじゃない」


「はっ!」


唖然とするグリーンに、バカだなーって2人して笑う


緊張は解れた気がする


『ありがとうグリーン』


「おっ、おう」


『早くレッド君に勝てると良いねっ』


「余計なお世話だよっ!」


「○○に怒鳴るなぁ!」


「ぐはっ」


『ふふっ』


「あっ、○○先輩!」


「ゴールドじゃん」


「ブルー先輩、…に、それは………グリーン先輩?」


「だった物体よ」


「あはは…」


『こっちの教室まで、わざわざどうしたの?』


「えっとですね、○○先輩今から時間ありますか」


『あー…ちょっと、なら』






私が行くはずだった中庭近くの廊下まで連れてこられ
ふいにゴールド君はこちらに振り返った


『………』


「○○先輩」


『ん?どうしたの』


いつもは明るく笑顔を絶やさないゴールド君が、いつもと違って真剣な顔をするものだから、どう接したら良いか一瞬迷うけど、いつもどうり、笑顔で応える


「俺、最後だから伝えたかった」


『最後って…卒業のこと?』


「そうっす」


そうだ、私はこの後、中庭に行って、最後だから…レッド君に告白するんだ


私も伝えなくちゃ




「俺、○○先輩が好き…です」

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